2019年6月28日金曜日

1718「健康4」2019.6.28

 合わせて、食生活の改善に取り組みました。
 片山先生は、WA.Price(プライス)の著書「Nutrition and physical degeneration」(食生活と身体の退化)に出合い、この貴重な内容を皆さんに知って貰いたいと思い、日本語に訳して出版して頂ける出版社を探したのですが何処も引き受けてくれるところはありませんでした。学術的な膨大な写真、ページ数のボリュームのある本は採算が取れないというのです。
 片山先生は諦めず、自ら英語を日本語に訳し、自費出版をすることにしたのです。驚きの決断、行動です。そして1978年12月に出版されたのです。私も読ませていただき食事の欧米化による健康被害の実体を身体的退化、奇形の出現を写真で確認でき、大きな価値観の変換となりました。
 豊歯会刊行で509ページ9000円の高価な本です。現在は改訂版が恒志会から4320円で出版されています。

 著書の訳者あとがきに記されている片山先生の言葉の一部を紹介します。
「日常医療に携わっていて、再発の問題は医療者としても、患者と同じく、またある意味ではそれ以上に問題となる。」
 と書き出しています。再発を如何に防ぎ、健康を保持できるかが肝心要になります。

「食事が適正でない、いくら高価な贅沢食であったとしても、それは必ずしも栄養的にバランスのとれた正しい食事ではない。場合に、身体にどのような悪影響を与えるか、特に口腔疾患についての深いかかわり方を1人1人に話し、納得のうえ食習慣を見直してもらうことは至難のことである。だから権威ある図書によって理解してもらおうとしても、学術的な裏付けのある、しかも興味ある物語的な読み物がほとんど皆無であった。そのプライス博士で図書の意義は、まさにその天について著書の念願するところが十全にいかされているものと思われた。
 またここに書かれている、われわれにはほとんど知らされていないアメリカ文化とその食生活がもたらした退化病の、広く深く災いしている恐ろしい危機的状態は、我が国の最近の状態を重ね合わせた時、全訳出版に決心させる大きな衝撃となった。
 医療に関係する人は勿論、すべての治療を必要とする人たちに、あるいは子育ての最中の親たちだけでなく、余生を送る老齢の人達にも読んでもらいたい、見てもらうだけでもできれば、食習慣改善への比類のないモチベーションとなり、実際活動に踏み込んでもらうことができると考えた。」

 以下が本の解説、内容です。
「現代文明と接触し食生活が「近代化」しはじめたとたんに、「未開」民族の口腔や顎の構造ひいては全身の健康がどんなに打撃を受け、劣化しはじめるか。1930年代に世界14か国で10数年にわたるフィールドワークをつみ重ね、その事実を明らかにして現代人の食生活に警鐘を鳴らしたW・プライス博士の記念碑的「古典的名著」(梅棹忠夫氏)。
 自給食の重要性、そして加工食品による身体の退化と崩壊をまざまざと見せてくれる珠玉の研究。
「全き生命ーそれは母なる大自然に従うところに花ひらく」--W.A.プライス」

「どの国、どの地域でも、食生活の変化が口腔内だけでなく、顎顔面、さらに身体全体に退化として著しい病的変化をもたらすばかりでなく、精神的にも変化をきたしていたという驚くべき事実である。  
 それに対して、その土地の自然の恵みだけで自給している人々の身体的、精神的な素晴らしさは目を見張るばかりである。」

「近代化に伴い、精製された小麦粉、甘い果物、ジャム、マーマレード、砂糖、シロップなどが入手できるようになると、重症の虫歯だけでなく、以下の退化傾向がすぐ子どもの世代から出現しはじめました。  
 歯並びが悪くなる。歯列弓(歯並びのアーチ)や、顔の他の部分が狭くなってくる。
体の抵抗力が低下し、病気にかかりやすくなる。結核になる。鼻孔が狭くなり、口呼吸になる。顔の発達障害。関節炎を起こす。歯周病になる。兎唇(としん)、口蓋裂(こうがいれつ)などの先天性に奇形。知的障害、ダウン症。」

「肉体でも、精神でも、また道徳面でも退化を防止するうえで、先住民の方が近代化された集団よりも優秀なのはなぜだろうか。その唯一の答えは、先住民が大自然の法則に従った生活をしていることである。先住民の食事は多種多様であるが、そこにはある共通の特徴がみられる。病気に対する免疫が高く、奇形が見られないということです。その地域で採られている食物は、身体の形成、回復物質を適切に供給してくれる食物なのである。」

「基本的に彼らは驚くほど親切で献身的であり、“全能の、万物に棲み給わうある力に対して、心から崇敬の念をもっている”と感じました。
 彼らは、大自然の法則に従い、その精神性も高く、たえず敬虔な心と深い信仰をもって、宗教人として、神とともに生きています。」