2019年8月15日木曜日

1765「坐禅断食の理法10」2019.8.15

・体へのアプローチは坐禅が一番
 体に介入するには私はどんな方法よりも禅が1番効果的だと思っています。しかし工夫は必要です。禅にはとても長い伝統がありますが、ただそのまま曹洞禅や臨済禅をやっていても肉体も変わらなければ、精神的にもそう悟った人が出るわけでもないだろうなと感じます。それは私が様々な宗派宗教を巡り巡って得た結論であり、体の改善には坐禅断食がやはり1番だと思っています。
「衆生無辺誓願度」すなわち、すべてのものを救う事が出来るのは、唯一この座禅断食かなとおもいました。
 体の中でも、やはりまずは腸に注目します。体の内側を変えることによって脳も変わります。体調が変われば人は変わるということです。インドの格言に「心のことをやるには体から」というのがあるますが、このことを言っています。

・データに裏付けられた工夫法
 まず体勢についてです。目を開けて、背筋を伸ばし、動かないで呼吸をする。これは大事です。目をつぶると副交感神経が優位になってしまいます。瞑想や睡眠に近い状態になります。そうすると腸の動きが鈍ります。腸は自立神経の支配を受けているので、目を開けている事、特に目玉は1点に向けて動かさないことが交感神経の働きを上げて腸の働きを活性化するポイントです。
 そして小腸の蠕動運動が大きくなると神経伝達の能力が高まります。脳のシナプスもそうですし末梢神経も同様です。そうすると血管の血流が増します。血管を通じて末梢の神経まで血液が行き届くようになります。
 末梢の血管は末梢の神経のコントロールを受け、神経が血管の周りに絡んでいる様な構造になっています。神経が血管を閉めたり開けたりして血液の流量を調節します。その開閉が出来ないと体温調整が出来ないわけです。末梢まで血液が流れていくということは、血管自身にとっても神経伝達にとっても相互に良いのです。

 脳の神経の伝達が良いと脳の電気信号の流れもスムーズになります。ストレスがあると脳の情報の流れが滞って、脳がバチバチと火花が舞っているようなショート状態になります。バチバチが続くと段々とヒートアップして熱を持ってきます。頭が痛いとか頭が厚いとかいう自覚も表れてきます。「頭を冷やせ」という言葉がありますが、こういう状態の時の事をいうのでしょう。
 そして神経のショート状態が続くことに耐えられずに、神経作用にブレーキをかけてしまうのが「鬱」状態です。神経の伝達が良くなり情報がスムーズに伝わると、脳がヒートアップすることがなくなるので決断や問題解決のスピードが上がります。考えなくても答えが見えて来る様な状態です。

 本来、坐禅が目指しているのもそのような状態です。その為には目を開けているという事が重要なのです。ここが坐禅と瞑想の大きな相違点です。視線や体が動いてしまうと神経の伝達が妨げられるので、動かないようにします。
 最も重要な神経伝達のラインは背骨に沿って走っているので、そこが伸びていることが大事です。坐禅断食の参加者の皆さんはこの点をきちんとやっています。

 その次は呼吸についてです。よく言われるように、口を閉じて鼻から息を吐いたり吸ったりする呼吸で良いと思います。通常の只管打座ではただ呼吸しているだけですが、例えばジャイナ教のように体が消費するエネルギーを少なくするために、如何に遅く呼吸をするかを工夫しているところもあります。そうなると呼吸も変わってきます。