2020年6月15日月曜日

2068「時事時局12」2020.6.15

 それから、金融の話ですが。FRBのこともちょっと書いてありますけれども、これがFRBのTerm Repoの数字なのです。Term Repoというのは、NY連銀が資金繰りに行き詰まった金融機関に特別にお金を貸してあげるのですよ。他からお金を借りられないところに、特別にお金を貸してあげる特別のオペレーションです。去年9月14日が言ってみればイランによる“真珠湾攻撃”で、その週明けの月曜日から金融危機が始まったんですけれども、あれからずっと続いていましてですね。今回、この2月の春節明けから、またものすごい金額なのです。やっぱり、春節明けから更に危機が深まりましたね。中国が止まっちゃって、玉突き状に色々な金融危機になっているのだと思いますよ。今ですね、銀行も大変だけれども、ファンドが大変なんですって。ファンドに直接FRBがお金を貸そうかという話があるのですよ。すごいですよね。孫正義のところだって、ビジョン・ファンド2とかいうのをやるのだけれども、半分にも満たないというじゃない。集まっているお金が。半分にも満たないと書いてありますよね。ですから、ファンドは資金が出る一方で、これで中国はアウトだよね。中国の投資家達もこの先は資金繰りですよ。資金繰りだよね、中国の投資家も企業経営者も。そうすると、皆売りますよね。売れるもの売って、資金繰りつけなきゃいけないし、とりあえず彼らはだからゴールドとビットコインを買っているんだよね。
 ゴールドとビットコインしかダメなのよ。なぜかっていうとですね、本当の大混乱の真っ最中になったときに売れるものって限られているのですよ。普段じゃないですから、パニックが始まって、9.11事件みたいな大パニックの最中でも売れるものって、限られているのですよ。そのときに本当に売れるのは、金塊なのです。金の現物です。先物市場はですね、例えばアメリカがロックダウンしたら、マーケット止めたら、もう売れないでしょう。金の現物は売れるのですよ。ですから、昔から皆がゴールドの現物を買うのですよ。いよいよというときのために。そうすると、地球最後の日みたいなときでも売れるのですよ。変な話ですけれども。最近は、そこにビットコインが入ってきているんだよね。ビットコインも随分と価格が上がったのよ。ですから、仮想通貨にみんな逃げているんだよ。法定通貨は、国がどうなるかわからないから。法定通貨の中で言ったら、円とスイスフランが値上がりしているのですよ。何かあると、円とスイスフランが買われるのね。でも、まぁそれで進むと日本で円高になって困るから、みんな円安で止めているんだけれども。お金を入れてね。ですから、法定通貨で残るのは円とスイスフランだよね。
 もう中国は物価が上がっちゃっていますよね。物価が上がっちゃっているから、もうハイパーインフレだよな。アメリカも、これ中国が倒れたらハイパーインフレへ行くんじゃない。物が入ってこないからさ。ですから、必然的に法定通貨だと、円とスイスフランだと思うのですよ。「藤原さん、ウイルスが大変なことになったら、円安に決まっているでしょう」って言いますがね、正反対ですよ。ウィルスで日本経済が止まるでしょう、資金繰りに困るでしょう。日本人は、海外に置いてある資産を日本に戻しますから、円高になるのですよ。東日本大震災の後は、円高に行ったでしょう。ここなのですよ。日本は、債権国なのです。日本国内で有事が発生すると、お金が足りなくなりますから、海外にある資産を売って、国内に戻してくるのです。ですから、日本の場合ですと、国内有事=円高なのですよ。東日本大震災のときと同じで、円高なのです。
 したがって、円高は加速しますよね。スイスフラン高も加速しますよね。それを止めようというのが、それをされると困っちゃうのが、輸出企業だとか、中央銀行だとか、民間の銀行ですよね。日銀とかね。それを止めようとしても、国内有事ではしょうがないでしょう。いくら介入したって止まらないですよね。ですから、やはり流れは円高だと思うのですよ。それで怖いのは、このFRBのTerm Repoの数字なのですよ。これはもう半年もやっているわけ。今回の金融危機は1回目の取り付けに40兆円くらいのお金を入れたわけね。去年の9月から始まって。この後、具体例が出てくる事件が起きるわけですよ。例えば、ソフトバンクの名前も出ていますよね。お金が集まらないと言って。それから、中国の会社が潰れるという話は、どんどん出てきますよね。そうした場合に、潰れた会社の赤字を誰が補填するかという大きな政治問題が生まれるのですよ。これが大きいのですよ。例えば、孫正義が経営に行き詰まったと、税金で救済すると言ったら、皆さん賛成しますか。しないですよね。孫正義のところへ大口融資をしている日本の銀行、メガバンクの経営が傾いたら、皆さん税金を入れますか。難しいでしょう。そうするとですね、この問題は決着がつかないから、全部先送りになるのですよ。先送り先送りで損失処理が全部先送りになって、全部資金繰りだけつけていくことになるのです。