2020年7月22日水曜日

2105「地球生態系3」2020.7.22

動物たちのパンデミック
 ミツバチのパンデミックによる大量死が世界中に拡大中
ミツバチのパンデミック
 世界各地で、ミツバチの大量死や「消失」が続いていますが、その理由は、例えば農薬などが挙げられることが多かったですが、ミツバチが大量死し続けている理由のひとつが、「真菌病原体によるパンデミック」であることが最近わかってきたと報じられています。
 これは、「ノゼマ病」といわれるミツバチの感染症なんですが、これが「どうやら過去 20年間、拡大を続けている」ことが、米カリフォルニア大学ボルダー校の研究によって突き止められたことが報じられていました。
 ただ、このノゼマ病の拡大についてのメカニズムはわかっておらず、今後どのようになっていくのかもわからないようです。

 ミツバチに関して、もうひとつ心配なことは、以下の過去記事で取り上げたことがありましたが、米ウィスコンシン大学とアメリカ農務省の科学者たちが、「ミツバチがエサにしているのは花粉ではなく、花の中の微生物だ」ということを突き止めたことと関係があります。
[衝撃] ミツバチは花の蜜や花粉を食べているのではない。彼らは食糧としての微生物がいなければ生きていけない「肉食」であることが判明。そのことから、ハチの大量死が「殺菌剤」と関係する可能性が浮上 In Deep 2019/08/31

 ミツバチたちが「微生物を食べている」ということは、先ほど書きましたけれど、「現在の新型コロナやイナゴや蚊に対しての大々的な環境の消毒」は、結果として、花の中のミツバチのエサを消滅させてしまう事態に結びつくと思われるのです。
 恐らくですが、現在、対象がイナゴであっても蚊であっても、草原や畑やその他の環境中に消毒剤・殺虫剤を噴霧している地域では、今後、ミツバチも急速に消滅していく可能性が考えられます。それに加えて、ミツバチは、感染症のパンデミックの渦中にあり、存続自体が危ぶまれているのかもしれません。

ウサギのパンデミック
 アメリカを中心として、「ウサギの感染症」が爆発的に拡大しています。
 ウサギ出血病と呼ばれる致命的な病気で、これは以下の記事で取りあげました。
アメリカで「ウサギの致命的な出血性ウイルス」が拡大しており、全米のウサギが絶滅に至る可能性も  地球の記録 2020/06/01
 この記事でご紹介したアメリカ CNN の記事の冒頭は以下のようなものでした。

 アメリカ西部の複数の州で、ウサギに感染するウイルス性の疾患が散発的に発生している。もしも感染が拡大し続ければ、米国に生息する数十種類のウサギ全てが壊滅的な打撃を受け、生態系が脅かされる恐れがある。
 見つかっているのは「ウサギ出血病」を引き起こす致死性のウイルスで、このウイルスは感染力が強く、ウサギやナキウサギなど、ウサギの仲間にのみ感染する。(CNN)

ボツワナ:ゾウのパンデミック
 アフリカのボツワナで、この 2ヵ月間、「次々とゾウが死に続けている」と報じられています。
 英国 BBC によれば、これまで 350頭以上のゾウの死体が発見されたとのことですが、原因は不明で、密猟や事故などとは無関係であり、調査にあたった英国の科学者は、「干ばつ以外の原因でこれほどの数のゾウが一度に死ぬのは前代未聞だ」と述べています。
 その後、アメリカのブルームバーグは、ボツワナ政府の声明を引用し、「この大量死はゾウの新しい感染症を示唆している可能性がある」と述べたと報じています。
 これが事実なら、つまり未知の感染症による死であるなら、今後もゾウの大量死が続く可能性があります。

そして、「魚のパンデミック」も起きています。
カリフォルニア州の「由来不明の病原体」による魚の大量死
 米カリフォルニアの養殖場で、今までカリフォルニアでは知られていない細菌により、数万匹のマスなどが死亡したことが、カリフォルニアのメディアで報じられています。
 症状としては、感染した魚たちは、目が膨らみ、泳ぎが不安定となり、皮膚が黒ずみ、腹部が腫れて、そして死亡します。
 検査の結果、ラクトコッコス・ガルビアエ(Lactococcus garvieae)という既知の細菌だとわかったのですが、この地域にはないものでした。魚の病理学者たちは、「そもそも細菌がどこから来たのかわからない」と述べています。
 そして、問題なのは「今のところ対策がない」のです。学者たちは、大量の抗生物質を飼料に混ぜて与えましたが、感染症の蔓延が止まることはありませんでした。

 いろいろと書かせていただきましたが、今、人間の社会にも、動物たちの社会にも「近年見られたことがなかったような病気の時代」が訪れているようなのです。
 今後、これらの状況がどのようになっていくのかはわからないですが、病気そのものもそうですが、それぞれの対策としての消毒、殺菌、抗生物質の多用、などによる生態系の乱れも相当激しいものとなっていきそうです。
 そして、私たち人間のほうの社会も、病気そのものとは別に、歪んだ状態が続きそうです。