今回は「いっぷくからのありがとう」さんの2025年06月19日の記事を紹介します。
「陰徳と悪徳」
今日、春日大社宮司であった葉室頼昭さんの
「神道 いきいきと生きる」より「陰徳を積む」というお話をご紹介します。
<引用開始> 引用元
生物のいのちが続くというのは、
・伝え、
・順応し、
・待つ。
この三つで生物は進化を続け、いのちを伝えています。
この伝統を伝えるということ、
そしていろいろな厳しい環境に順応し、
去っていくのを耐えて待つことが必要なのです。
しかし人間はそれだけではありません。
人間が何のためにこの地球上に生まれたのかということが重要なのです。
人間は他の生物とはまったく違った目的で誕生したのだと思います。
つまりそれは神の世界を見て、
こんなに素晴らしい美の世界だということを表現するために、
神様は人間というものを産み出されたのだと私は考えています。
それは人間だけが優れ、他の動物が下等というのではありません。
ただ人間は、この目的のために進化を続けているということです。
そして人間の場合、ただ進化しただけでは、いのちは伝わっていかないのです。
そこに「徳」というものが必要だと私は思っています。
とくに日本人はこの徳を積まないと、
いのちが子孫に伝わっていかない民族だと思うのです。
しかも陰徳という徳です。
この陰徳を積んできた家が今続いているのであって、
陰徳を積んでいない家は、
いのちというものが続いていないように見受けられるのです。
私は小さい頃よりおふくろから、
「陰徳、陰徳」と耳にたこが出来るくらい聞かされて育ちました。
友だちのために一生懸命にやって、友だちが何も感謝してくれないこともありました。
その話をすると、「それでいい。それが陰徳です。それが子供に伝わっていくから、
それはそれでいい。むしろ感謝されないほうがいい」と言われ、
わけもわからず、そんなものなのかなと聞いてきました。
その意味がいまこの年になってようやく分かってきたのです。
普通、人はこれだけ尽くし世話をしたのだから、
感謝してほしいと思うことがよくあります。
しかしそうすると、もうそれは陰徳ではなくなってしまうのです。
感謝や見返りをいっさい求めない。
人の喜ぶことをしていれば、それが一番いいのです。
そういうことの積み重ねが陰徳になり、
やがて子々孫々にまでその余徳が及んでいくのです。
この陰徳と関連して、大きな努力と小さな結果ということも大切なことです。
大きな努力をして小さな結果を望みなさい。
この逆をやって小さな努力で大きな結果ばかりをもらっていると、
いずれ滅びてしまいます。
例えば、百万円を儲けるために、
Aという努力をして百万円儲かるんだったら、
その何十倍も大きなBという努力をして、
そして百万円を得るようにしなさい。
そうしたら陰徳で栄える。こういうことなんですね。
それは努力のわりに儲けが少ない。
しかし、そうしたらその分、徳を積んで、続いていくのです。
この世の中というのは、栄えるというのではなく、
続くということが一番大切なことなのです。
会社がどんなに儲かっていても、潰れてしまっては元も子もありません。
何ごとも、いかにしたら続くか、ということを第一に考えるべきなのです。
<引用終了>
自分で積んだ徳は、何倍にもなって自分だけではなく、子供や、孫などの子孫、
そして時間をさかのぼって、先祖までにも良い影響を及ぼすといわれています。
人の心は、
・時間
・空間(距離)
・次元
を全て包括するだけでなく
・見えている世界
・見えない世界
までをも内包する偉大な世界だからです。
これとは逆の悪徳
これは自分さえよければ、他人はどうなろうと構わない
そういった
・今だけ
・金だけ
・自分だけ
の心であり、
俺が俺が・・・
私が私が・・・
と感謝や見返りを求め、自分だけが特別扱いされたい意識です。
これは陰徳とは全く逆の方向性を持っていますから、
自分や子供、孫、子孫、先祖に跳ね返ってくるものも、逆の効果を生み出します。
明治までの日本人は自然体として、この陰徳の心が根付いていたそうです。
ですが、文明開化と称し、西洋の物質文明、白か黒か?
大きいことは良いことだ、自然を征服して幸せを手に入れる・・
このような思想が入ってきました。
この時代、江戸末期から明治にかけて
古くからの日本の神々は、日本人の精神に危機感を抱きました。
ですので、この時期に沢山の神々の動きがありました。
天理教、金光教、黒住教、大本教、生長の家など、
明治になって150年、日本は令和の時代を迎えました。
陰徳の心を自然の心として持っていた日本人の精神は
もしかしたら、時代の潮流を変えられるかもしれません。
今は隠れていても、私たちの身体には祖先のDNAが、しっかり組み込まれています。
心を祓い清め
神々に連なる精神を復興していきたいものですね。
そして生きとし生けるもの
皆が笑顔で幸せになりたいものですね。