2023年9月1日金曜日

3171「やはり2025年頃にはいろいろと終わりそうで」2023.9.1

 今回はInDeepさんの2023年8月29日の記事を紹介します。


「やはり2025年頃にはいろいろと終わりそうで」

やはり2025年頃にはいろいろと終わりそうで - In Deep


サイクルの最終局面

最近読んだ米国の記事に、レイ・ダリオさんという方の著作『変わりゆく世界秩序:帝国の興亡と変化への対処策』というものの中にあるとされている、

「大国の勃興と衰退の典型的なパターン」

に関しての図を見ました。

レイ・ダリオさんという方は、よくは知らないですが、こちらの Wikipedia にある方だとすれば、世界的な投資家ということになるのでしょうかね。

ともかく、レイ・ダリオさんによれば、大国は以下のような経緯で、「上昇(勃興)、そして頂点に至り、最終的に衰退する」という経緯を辿るのだそうです。

下の小さい部分は、「 1 から 18」までの区分となっていますが、図に書き込んでも読めない大きさになりそうですので、文字にしますと、以下のような経緯を辿るのが典型的なパターンだそうです。

典型的な大きなサイクル

(上昇)

1. 強力なリーダーシップ

2. 独創性

3. 教育

4. 強い文化

5. 適切なリソース割り当て

6. 優れた競争力

7. 収入の大幅な増加

8. 強力な市場と金融センター

(頂点)

9. 生産性が低い

10. 過度な拡張

11. 競争力の喪失

12. 貧富の格差

(衰退)

13. 多額の借金

14. 現金の印刷

15. 内部抗争

16. 基軸通貨の損失

17. 弱いリーダーシップ

18. 内戦・革命

 

これを見れば、専門家ではなくとも、アメリカは「13 はとうに過ぎている… 14 もとうに過ぎている」ことがわかります。

現在焦点となっててるのは、「 16. 基軸通貨(ドル)の損失」ですが、これも、時間の経過と共に避けられない情勢となっています。

「 17. 弱いリーダーシップ」は、今の米国大統領の素晴らしいリーダー湿布を見ると当てはまらないかもしれないですが(湿布かよ)、何となく、米国は、 

「衰退の最後の局面に近いところに来ている」ことは曖昧ながらわかります。

そして、レイ・ダリオさんによれば、その後は、「 18. 内戦・革命」と至り、大国の勃興から衰退までのひとつのサイクルが終わる、ということのようです。

その後に、再度「1」に戻り、再興していく場合もあるのでしょうし、「いつまでも 1 に戻らない」場合もあるのかもしれません(こちらが普通だと思われます)。

アメリカ、アメリカと書いていますが、上の 18項目を「日本」に当てはめますと、これも少なくとも「 15」は超えており、もしかすると、最後の段階の「 17」あたりの渦中かもしれないとも思います。

13. 多額の借金

14. 現金の印刷

あたりは、アメリカより状況が良くないです。

ただ、日本は「 18. 内戦・革命」に至る可能性はなさそうですが、

「 101回目のブースター接種」

くらいならあり得るのかもしれません。101回目はともかく、これらにより、一般的な内戦や革命による死者数とは比較にならない犠牲を伴いながら、「ひとつの終焉」ということになるのでしょうが、仮に、日本が 18のサイクルを超えた後に、「 1に戻ることができるのかどうか」は、大変に微妙です。

(参考記事)今の日本は実際には1945年どころではないですが…しかしさらに、日本は永遠の「mRNA+脂質ナノ粒子」の炎症性戦争へと In Deep 2023年8月9日

 

日本は、1に戻ることはないかもしれません。

ワクチン以前から続く人口減少(若い人たちが減っていく)に歯止めがかかる時はなさそうですし、何より将来の日本には「食料がない」。

ただでさえ農業人口が高齢化している日本で、10年後がどうなるかということなどは、特に計算するまでもなくわかることです。ちょっと古いデータですが、その後も増えていることはないはずです。

日本の農業就業者数などの推移

独立行政法人経済産業研究所

以下の記事にさらにグラフがあります。コロナ前の記事です。

(記事)「飢餓の時代の到来」を調べているうちに突き当たった「農業の未来像と共に浮かび上がる食糧アルマゲドン」という概念 In Deep 2019年7月17日

 

どれだけ最先端技術が進んでも、あるいは環境に優しいエネルギー生成を成し得たとしても、新たな mRNA テクノロジーが開発されたとしても、人は ICチップを食べて生きられるわけではないし、太陽光パネルを囓って生きられるものでも、mRNA を料理して食べられるわけでもないです。

 

なんか日本の話になってしまいましたけれど、アメリカの話に戻りますと、簡潔にいえば、

「非常に終わりに近いところまでサイクルは進んでいる」といえると思われます。

「16. 基軸通貨の損失」にどれだけ時間がかかるかはわからないですが、いわゆる脱ドルはどんどん加速しています。

(参考記事)ドルの崩壊が、曖昧ではなく始まった In Deep 2023年4月6日

現実として、アメリカの購買力は、過去 40年で 80%以上減少していまして、そして、お金の印刷は飛躍的に増加しています。

米国の総マネー供給量と購買力の推移

以下の記事にあります。

(記事)8月22日の BRICS 首脳会議で宣言される「何か」はドル支配の世界を緩慢に変えるだろうか In Deep 2023年8月15日

 

もちろん、基軸通貨としてのドルの崩壊が瞬間的に起きるはずもないですが、しかし今より来年、来年より再来年に、さらに顕著にその傾向が出てくると思います。

まあ…今も昔も、たとえば、若い人などでは、日本ではなく海外で学びたい、あるいは海外で働きたいという人たちはいつでも数多くいると思いますが、

「どの国に行くか」

は、相当慎重に決めなければいけない時代になっているようには思います。もちろん、どの国がいいのかは私にはわかりません。

今回は、アメリカの資産運用会社のメディアの記事をご紹介させていただこうと思います。現在のアメリカが「ギリギリのところにある」ことがわかるものです。

サイモン・ブラックさんという人の記事ですが、シリコンバレー銀行が破綻した後に、この方の記事をご紹介したことがあります。

(記事)「崩壊は一瞬で起こり得る」:迫るメルトダウンのメカニズムがようやく理解できました。そこには驚くべき事実が存在します In Deep 2023年3月14日

 

アメリカの連邦準備制度自体が、実際にはどうしようもなく「破綻」しているということなどを書いていたものですが、連邦準備制度はともかくとして、実際、アメリカの銀行はもうどうにもならない状態になっていて、「なぜか不思議とまだ生き残っている」という感じでしょうか。

米国の銀行の投資有価証券の含み益(含み損)

 

■ 満期証券保有

■ 売却可能有価証券 

どんなことでもそうですが、どれだけゆっくりと進んでも、メカニズムとして「破綻に向かっている場合」、是正がなされない限り、やはり破綻に向かっていくということにもなり、それが全体的に着火した場合、大爆発に結びつく可能性はいつもありそうです。

それが今年か来年か 2025年か、その先なのか、それがわからないだけで、避けられないものは避けられないのだとも思います。

ここから記事です。

資産運用会社のページですので、内容は投資についてですが、アメリカ国家の経済の現状を数値として知ることができるものです。

なお、著者のサイモン・ブラックさんはこの会社の創設者ですが、経歴を見ますと、米国陸軍士官学校を卒業した後、イラク戦争の作戦中に情報将校として陸軍で働いていた方だそうです。

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実物資産について考えていないと取り残されてしまうだろう

If you’re not thinking about real assets, you’re going to get left behind

Simon Black 2023/08/14

「恐ろしい」とは、ウォール・ストリート・ジャーナルが今週末、米国に差し迫った金融危機を表現するために使った言葉だ。

彼らは率直にこう言った。

「米国政府はウォール街がもはや無視できない危機の種を蒔いた」

私はこのことについて 14年間書き続けてきた。当時、米国政府が深刻な財政危機に陥っていると示唆することは、非常に物議を醸し、ほとんど陰謀論的にさえとらえられた。

しかし、今日では、これは世界で最も著名な経済報道媒体の第一面ニュースとなり続けている。

問題を理解するために、政府自身のデータをもう一度見てみることにしよう。

財務省の 7月31日の最新の報告書によると、今年度これまでに 3兆6900億ドル(約 540兆円)の税収が入っている。

しかし、社会保障とメディケアに約 1兆8000億ドル(約 265兆円)、債務の利払いに 7260億ドル(約 100兆円)、軍人や退役軍人の給付金に約 9000億ドル(約 130兆円)を費やしてきた。

つまり、政府のその他すべてに使える資金は 2,840億ドル(約 42兆円)しか残っていないということを意味する。

今年度これまでに、基本的に福祉とフードスタンプである「所得保障」だけで(かなり不気味なことに)6,660億ドル(約 97兆円)を費やしていることを心に留めておいてほしい。

財政赤字がすでに 1兆6000億ドル(約 234兆円)になっているのはそのためだ。会計年度が 9月に終了するまでに、おそらく約 2兆ドルになるだろう…これは、どの基準から見ても完全な列車事故だ。

さらに悪いことに、今年だけが一度限りの悪い年ではないということだ。

新型コロナウイルス感染症以前、2019年の会計年度終了時点で米国の国債額は 22兆7000億ドル(約 3300兆円)だったが、現在ではその額は 50%近く増加し、32兆7,000億ドル(約 4800兆円)となっている。そしてそれは毎年飛躍的に増大する。

この問題の最も恐ろしい部分は、米国の国債のほとんどが、金利が歴史的に低かった過去 10~15年(特に過去 3~4年)に蓄積されたものであることだ。

たとえば 2021年8月時点の米国国債の平均金利は、わずか 1.45%だった。当時は金利が非常に低く、政府はほとんどタダで借りることができたのだ。

今は話が違う。現在財務省が借り入れている新規債務にはすべて、5%を超えるはるかに高い金利が付いている。

そして、これは米国政府にとって非常に大きな問題だ。

現在の国債の大部分は今後 5年間で満期を迎える。

しかし、米国に 32兆ドルが眠っているわけではないため、そのお金を返済することはできない。代わりに、新しい債券を発行して古い債券を返済することで借金を借り換える。率直に言って、これはちょっとしたポンジスキーム(投資詐欺の一種)だ。

しかし、彼らが新たに発行する債券は、過去のような超低金利ではない。政府は現在の金利が何であれ、おそらく 5%以上を支払わなければならないだろう。

米国政府債務の平均金利が今後数年間で 5%に上昇した場合、利払いだけで毎年 2兆ドル(約 290兆円)という膨大な額を費やさなければならないことになるのだ。

これに加えて、社会保障とメディケアの年間請求額は約 3兆ドル(約 440兆円)に達する。

考えてみてほしい。利子を支払うだけで、社会保障とメディケアを加えれば、すべての連邦税収を超えることになる。

米国政府は、政府が行う他のすべてのことは言うに及ばず、軍に資金を提供するためだけに借金をしなければならない状況に陥るだろう。

繰り返しになるが、私はこれについて 14年間書き続けているため、この分析と結論は長年の読者にとって新しいものではない。

しかし、この差し迫った財政危機は急速に主流の問題になりつつある。これは、ニュースでこの問題を目にする機会が増えることを意味し…政治家たちは何かを言わざるを得なくなるだろう。

彼らの突然の反応は増税だろう…それは社会主義の人気の高まりと一致する。何らかの理由で、高い税金と政府支出が繁栄を生み出すと愚かに信じている人々が依然として増えている。

もう一つほぼ避けられないのは、連邦準備理事会が再び利下げを開始することだ。FRB 議長は連邦政府を破産させた責任を問われることを望んでいない。この危機をさらに先へ進める唯一の方法は、歴史的な低金利に戻すことだ。

したがって、単に連邦政府を救済するために、おそらく金利の引き下げが期待できるだろう。しかし、これはおそらく持続的なインフレの上昇につながる。

理論的には、これはすべて修正可能だ。アメリカにはまだ巨大な課題を解決する時間がある。

しかし、時間は急速になくなってきている。

そして、これが私がプランB(資産保持の他の方法)を持つことについてこれほど長い間書いてきた理由だ…政府の現在の方針に基づくと、彼らは事態を悪化させるだけだからです。

私の意見では、プランB の重要な要素の 1つは実物資産を考慮することだ。

実物資産は全体量が乏しいため、それらには普遍的な価値がある。そして、それらは生産的であるか、少なくとも生産的に使用することができるものだ。

ゴールドはわかりやすい例だ。1オンスの金を生産するには多大な労力がかかるが、金は生産的に利用できる。何よりも、中央銀行は何兆ドルも印刷できるが、金は何もないところから作ることはできない。

これはほとんどの他のコモディティにも当てはまる。

しかし、一部の商品は他の商品よりもはるかに価値があり、需要がある。たとえば、農業とエネルギーは世界で最も重要な資源であり、常に需要があり続ける。

生産的なテクノロジーも重要な実物資産だ。世界をより良く、より速く、より安くするものにはすべて価値がある(これが、単にスワイプやスクロールをして時間を無駄にする「消費者向けテクノロジー」とは大きく異なる点だ)。

実物資産は、歴史的かつ論理的に、財政危機において非常に優れたパフォーマンスを発揮する傾向があるため、重要だ。

危機における最良の安全な避難所は、質が高く、価値があり、希少な資源となる。

今こそ、このことについて考える時期だ。

アメリカの財政危機は完全に明白であるにもかかわらず、ほとんどの人がそれを無視している…したがって、実物資産も無視されている。

多くの実物資産(コモディティ、生産性の高いテクノロジーを含むコモディティベースのビジネス)がかつてないほど安くなっているため、現時点ではこれは投資家にとって大きなメリットだ。