2021年2月20日土曜日

2248「新生活様式」2021.2.20

 今回は「Jのあっちもこっちも」さんの2021年02月18日の記事を紹介します。


本間真二郎先生 『新しい生活様式の定着は人間の終わりを意味します』

 https://ameblo.jp/j-out-sider-zzz/entry-12657513002.html

新しい生活様式の定着は人間の終わりを意味します

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 2019年の末に新型コロナウイルス(以下新型コロナ)が登場してから、インフルエンザの発生は見られなくなっており、今シーズンは例年の1/1000程にまで激減しています。

 この理由として、手洗いやマスクの徹底などの「新しい生活様式」によるものという意見が多く見られます。他にも様々なものが考えられます。例えば、渡航制限により海外からのインフルエンザの持ち込みが少ない、新型コロナによる感染干渉、患者の受診控え、病院で検査をしていない(厚労省から病院に通達が出ています)・・・などです。

 しかし、2020年はインフルエンザだけではなく、あらゆる感染症が激減していることをご存知でしょうか?

 日本の国立感染症研究所は様々な「感染症の発生動向調査」の結果を毎週、感染症週報として発表しています。 

 一年の最後の週(第52、53週)には、一年間の週ごとの発生数をここ10年間で比較したグラフが見られます。

 図1〜図6をご覧ください。太い赤線が2020年になります。

図1


図2

図3

図4

図5

図6

 2020年は、突発性発疹と細菌性髄膜炎を除くあらゆる感染症が例年よりものすごく少なくなっています。

 重要なのは、この結果を一般の人だけでなく、多くの医師や専門家までが歓迎していることです。つまり、これは「人同士の距離を保つ、マスクや手洗いを徹底している素晴らしい成果」であるとか「私たちは今までなんという不潔な生活をして来たのか」というものです。

 誰もが、なるべく感染症にはかからない方がいいし、もちろん人にもうつさない方がいいと考えると思います。しかし、私は、感染症を含めた物事の結果は、短期と長期とではまったく違うと考えており、むしろそのことを専門家の誰も指摘しないことをとても危惧しています。

 

理由を以下に説明します。

 私たちの暮らしている生活環境(空気、水、土や家の中も)は、おびただしい種類と数の微生物(菌やウイルス)で覆い尽くされています。ほとんどの微生物は私たちと共存することも、感染症を起こしたりもしませんが、あらゆる生物や地球環境の維持に必要なものです。

 私たちは、これらの中で自分と共存する腸内細菌などの微生物(ウイルスなども含みますがここでは常在菌とします)を遺伝による相性や免疫力により選んで取り込んでいます。


 生まれる前の胎児は無菌です。常在菌の獲得は、まずはお産の時に母の膣内、腸内、皮膚の細菌を受け継ぎます。その後は、家族や身の回りの菌を取り入れていきます。

 次に免疫力ですが、赤ちゃんでも自分自身の基本的な免疫力はもっています。しかし、自然免疫はすぐに働けますが、強力な獲得免疫は記憶がなく、すぐには動けない状態です。 

 そこで、抵抗力(抗体)を母から胎児期に受け継いでおり、これを母子免疫と言います。これは1歳程で無くなり、その後は自分の免疫力を発達させていきます。

 母が持つ常在菌は、生きて来た環境と生活の結果であり、母乳中の抗体も、いままで接触したあらゆる微生物に対する記憶の集大成のようなものです。これらは赤ちゃんが母と同じ環境(微生物などの)で生きるのに最適な常在菌と免疫のセットになるのです。

 これらをベースにして、赤ちゃんは何でも口に物を入れるなど、身の回りにある菌を避けたりしないで、むしろ積極的に取り入れていきます。そして、自分と共生できる菌を取り込んだものが常在菌になります。3歳頃までに確立される常在菌(とくに腸内細菌)が生涯の健康を決めているとも言われています。

 

一方、どうしても共生できない病原菌などは免疫力で排除することになります。この時に、免疫力が過不足なく働けば、身体は健全な状態に保たれます。

 免疫は「働く」ことと「調節できる」ことの両方が大切です。免疫が働かなければ、感染症を防げませんが、逆に強く働きすぎると、自分自身も攻撃し病気を引き起こします。この免疫が適切に調節できないことが、アレルギーや自己免疫疾患、生活習慣病、癌、鬱、発達障害など急増している現代病の最も根本的な原因なのです。


 大切なのは、免疫系は生まれてからずっと自分の近くにどのような微生物がいるのかを取り込みながら確認していることです。免疫系が適切に働くためには、これらの菌と常にやりとりをして、共生するのか、排除するのか、どの程度働くかなどの調節を練習する必要があるのです。

 つまり、免疫の調節には、幼少期のできるだけ早い時期から積極的に微生物と触れ合うこと、腸内細菌などの常在菌を整えることが最も大切なことになります。ワクチンで免疫をつければ良い、と考える人もいらっしゃるかもしれませんが、自ら免疫の調節機能を自然に獲得していくことと、人工的に(ワクチンなどで)免疫をつけることとは全く次元の違うことなのです(ここでは詳しく説明しません)。


 何かの病原体に感染した時に、感染するのか?発症するのか?軽症か重症か?死亡するのか?合併症や後遺症が出るのか?・・・なども、病原体ではなく、むしろそれぞれの人が持つ免疫力により決まります。

 しかし、新型コロナ登場後の新しい生活様式により、あらゆる感染症が減少しており、これは、病気を引き起こす微生物だけではなく、私たちが日常生活により当たり前に触れたり、人とうつし合ったりしている微生物との接触が激減していることを示しているのです。

 かつての産業革命(1760年代くらい)までの社会では、微生物による感染症は人類の最大の脅威でした。ですから、あらゆる方法で微生物を排除しようとする動きは、人類の歴史の必然であったとも言えます。

 さらに現代では、生活における除菌や抗菌の徹底だけでなく、どのような軽い感染症でも防ぐことが良いとされています。VPD(Vaccine-Preventable disease:ワクチンで防げる病気)という言葉があります。これは、ワクチンで予防できるものは、どんな感染症でも可能な限り予防しようという西洋医学の一般的な考えです。


 これらの根底には「感染症にかかることは悪いことである」という考えがあります。もちろん重症な感染症は様々な手段で対策をとることが必要になりますが、軽いものも含めてすべての感染症を防いだり、必要以上にあらゆる菌を排除したり、他人との接触を避けることは本当に良いことでしょうか?

 そしてその影響は、免疫系の発達過程にある子ども達が最も大きいことに加え、孫や未来の子孫達にまで及びます。

 今後長期化・定着していきつつある「新しい生活様式」。感染対策やワクチンを始め、これらの是非に関して、今後人々の考え方は二極化していくでしょう。


 大切なのは、どちらが正しいかどうかではなく、一人一人が「自分はどうしたいか、どう生きたいか」を考えることです。そして、その考えを、人に強要したり、排除したりするのではなく、それぞれの考えを尊重しあえる新たな社会の仕組みづくりが早急に必要になるでしょう。