2022年9月29日木曜日

2834「戦争、市場の崩壊、食料危機。すべては突然起きる「ように見える」だけなのかも。」2022.9.29

 今回はインディープさんの2022年9月24日

戦争、市場の崩壊、食料危機。すべては突然起きる「ように見える」だけなのかも。ウクライナ侵攻までの14年間を見ていてそう思う - In Deep  の記事を抜粋して紹介します。


言葉をつなぎ合わせる

ここにきて、「第二次世界大戦以来、最大となる世界戦争が近づいている」とする見出しの記事が海外で多くなってきました。

その「時期」も、予想よりも早いという可能性が高くなっています。世界経済フォーラムというのか、ディープステート、というのか、あの方々は「予告してくれる」傾向にあるのですね。この、戦争の拡大ついての予測は後半に書かせていただくとして、まずは、食料危機の予測がこの夏前におこなわれました。

 

これはもう始まってはいますが、食料の問題が本格化するのは、今年の作物の収穫量が正式に各国から発表される秋以降であると共に、すでに進行している極端なエネルギー危機も、食料問題と生産と密接に関係すると見られます。

ヨーロッパには農業大国が多いですが、エネルギー危機がもはや手に負えないレベルとなっていて、来年以降の生産がどうなるかは不透明です (おそらく広範囲で生産が停止されると思われます)。

エネルギーに関しては、もういくつかのヨーロッパの国々は息をしていません。

ベルギーなどは、絶望的な電力危機の中で、「原子炉を閉鎖」という暴挙にも出ていたりと、もう完全なブレインデッド状態です(あるいは完全な悪意か)。 

ベルギーは最近の世論調査で、「国民の 64%がエネルギー料金の支払いができなくなると懸念している」という結果が出ています。

しかしベルギー政府は、「そんなことよりクリーンエネルギー邁進が大事だし」ということで、今後も原子炉を次々と閉鎖するとしています。クリーンエネルギーの可否はともかく、「まずは人の命では?」とは思うのですが、もうお構いなしのようです。

 

現在のヨーロッパには、ロシアからの天然ガスは流れておらず、12月になれば、ロシアからの石油もなくなると見られ(価格の上限設定をした場合、ロシアは一切エネルギーを供給しないと述べているため)、それでも今は中国経由で天然ガスを入手しているようですけれど、それが「止まったら」何もなくなる国も多いのですが、ベルギーにしても、「代替エネルギー獲得の目処はまったく立っていない」のです。まったくの狂気の状態で寒い冬に突き進んでいる。ドイツなども代替のエネルギー入手先は見出されていません。 

このままですと、ヨーロッパは、来年 1月には一般のガス供給ができなくなり、3月には貯蔵が「完全に枯渇」することを国際エネルギー機関が述べています。

国際エネルギー機関(IEA)による欧州のガス貯蔵量の推移の予測

ヨーロッパがこのように悲惨な状況に突き進んでいるのを見ていますと、スウェーデンのメディアが発表した先日の以下の記事にある「米国がヨーロッパを滅亡させようと計画した」ということも再度考えたくもなります。

[記事] [衝撃] 米シンクタンク、ランド研究所から漏洩したとされる文書は「ヨーロッパを滅ぼすことを計画した主体はアメリカである」ことを示す…In Deep 2022年9月18日

 これを報じたスウェーデンの日刊紙であるニヤ・ダグブラデット (Nya Dagbladet)は、その後もこれに関する記事を発表し続けています。

興味深いのは、私も上の記事にある文書の「表紙」を見た時に気づいたのですが、「この文書が誰に宛てられたものか」ということについて、ニヤ・ダグブラデットは、こちらで記事にしています。

米ランド研究所が作成したと報じられた文書の表紙

nyadagbladet.se

ここには以下に宛てられたことが示されています。

・ホワイトハウスの首席補佐官 (WHCS)

・アメリカ国務省 (Dept. of State)

・中央情報局 (CIA)

・アメリカ国家安全保障局 (NSA)

・米国民主党全国委員会(DNC)

国防関係当局とかはなく、共和党関係もないようです。ここに「 CIA 」があります。最近読みましたアメリカのメディア記事で、この CIA と関係する大変興味深いことを拝見しました。そのことを少し書かせていただきます。

 

ウクライナ侵攻までの14年間の道筋

まず、ランド研究所の文書だと報じられていたものの概要には、以下のような部分がありました。

今年 1月に作成されたこの文書は、紛争前にウクライナが追求していた攻撃的な外交政策により、ロシアがウクライナに対して軍事行動を取らざるを得なくなることを認めている。その実際の目的は、すでに準備されていた対ロシア制裁をヨーロッパが広く採用するよう圧力をかけることであったと文書は主張している。 (In Deep) 

昨日、アメリカの「アンチ・ウォー (Antiwar.com)」というメディアで、レイ・マクガヴァンさん (Ray McGovern)という方が記事を寄稿していました。寄稿文のタイトルは、「ロシアとの戦争のために洗脳されている」というものです。

このレイ・マクガヴァンさんという人は、1960年代に米軍の歩兵/情報将校として勤務した後、 27年間 CIA の分析官をしていたとあります。

記事は非常に長いもので、全部ご紹介することは難しいですが、「米国のメディアはまったく真実を報じていない」として、2008年から今年 2月24日のロシアのウクライナ侵攻までの「道程」を記しています。その最初の部分は以下のように書かれてあります。


9月22日のアンチ・ウォーの記事より

14年前、当時の駐ロシア米国大使 (現 CIA 長官)のウィリアム・バーンズは、ロシアの外相セルゲイ・ラブロフから、ウクライナが NATO のメンバーになれば、ロシアは「介入しなければならないかもしれない」と警告された。

バーンズの 2008年2月1日のモスクワからワシントンへの電報(#182)の件名は 、「 Nyet (ロシア語での「No」) は Nyet を意味する。ロシアの NATO 拡大レッドライン」とある。このように、ワシントンの政策立案者たちは、NATO におけるウクライナの加盟に関するロシアの「レッドライン」について、非常に具体的な言葉で事前に警告されていた。

それにもかかわらず、2008年4月3日にブカレストで開催された NATO 首脳会議は次のように主張した。

「本日、これらの国が NATO のメンバーになることに合意しました」 

この「レッドライン」というのは、「その一線を超えれば、軍事行動に至る可能性がある」という意味で、当時のアメリカの政策立案者たちは、それを「具体的に聞いていた」にも関わらず、「すぐにレッドラインに抵触する行動に出た」ことになります。

平たくいえば、アメリカは、「ロシアの具体的なレッドラインを知った後から、ロシアへの挑発を始めた」と。レッドラインを知らなかったのなら、挑発とはいえないかもしれないですが、「具体的にそれを知っていて行ったのなら挑発」です。

そして、その後も何年間もいろいろなことがあったことが書かれているのですが、2021年12月からロシアが侵攻した 2022年2月27日までの展開を以下のように書いています。


9月22日のアンチ・ウォーの記事より

2021年 12月30日、バイデンとプーチンは、プーチンの緊急要請で電話会談をおこなった。その後のロシア政府の発表文は、「ジョセフ・バイデン氏は、ロシアと米国はヨーロッパと全世界の安定を確保する特別な責任を共有しており、アメリカ政府はウクライナに攻撃的な兵器を配備するつもりはないことを強調した」と述べた。

プーチン大統領の最高外交政策顧問であるユーリ・ウシャコフ氏は、これは、米国と NATO に対する安全保障の提案で、ロシア政府が達成したいと望んでいた目標の 1つでもあると指摘した。

 

2022年 2月12日、ウシャコフ氏は、その日のプーチンとバイデンの電話での会談についてメディアに説明した。「この電話は、12月30日の電話会談のフォローアップのようなものだった」と述べた。ロシア大統領は次のように明らかにした。

「NATO の非拡大に関するロシアのイニシアチブの重要な要素と、また、ウクライナ領土への攻撃兵器システムを配備しないというバイデン大統領の提案は(アメリカの)中央政府に届いていませんでした。 …これらの要件に対して、意味のある応答はありませんでした」

 

2022年 2月 24日、ロシアはウクライナに侵攻した。 

2021年12月の時点では、バイデン大統領は、「ウクライナに兵器を配置しない」と電話会談で確約を述べたのにもかかわらず、2月の電話会談で、「それがまるで守られていなかった」ことをプーチン大統領が知ったということになりそうです。 

要するに、挑発でもあり、「ナメられてもいた」ことになります。もともと世界経済フォーラムの忠実なメンバーだったプーチン大統領のページが、世界経済フォーラムのウェブサイトから「消えた」のは、 2月27日のことでした。こちらの記事でふれています。

このあたりの時期に亀裂が生じた理由は、上の経緯を見ているとわかります。

そして、興味深いことは、ランド研究所の文書とされるものが「 CIA にも宛てられている」のですが、先ほどのアンチ・ウォーの記事の、

 

> 当時の駐ロシア米国大使 (現 CIA 長官)のウィリアム・バーンズは…

でわかりますが、「最初にロシア政府からレッドラインを具体的に聞いたのは、当時の駐ロシア米国大使であり、その人物は今は CIA の長官」だということです。

2008年からの一連の動きの中心にこの人がいる。そして、この CIA 長官であるウィリアム・バーンズさんはバリバリの世界経済フォーラムメンバー。

そして、このように 14年間かかって勃発に至ったこの戦争が、今後拡大することが避けられない状態となりつつあることも示され始めています。

レイ・マクガヴァンさんがアンチ・ウォーに寄稿したこの記事の冒頭は以下のようなものでした。

(レイ・マクガヴァンさんの寄稿文の冒頭)

> ジョー・バイデン大統領に助言する悪霊魔術師の見習いたち (ブリンケン国務長官、サリバン国家安全保障担当補佐官、中国専門家のカート・キャンベル)によって、ウクライナに始まり、おそらく中国にまで拡大する、過去 77年間で最も広い戦争のためにアメリカ人たちを軍事的集結させるのに何の問題もなくなってしまった。これを成し得た主流メディアに万歳だ。 (antiwar)

 

27年間、CIA で分析官をつとめていたマクガヴァンさんから見ると、現在の状況はこのように見えるようです。この「全世界が戦争に巻き込まれる」というフレーズは、現在、実にいろいろと出ていまして、このマクガヴァンさんのように、欧米の政策に批判的な見方をする方々だけではなく出ています。

たとえば、セルビアの大統領であるアレクサンダル・ヴチッチ氏は、ニューヨークでの国連総会で以下のように述べたことが報じられています。

 

(セルビア大統領の国連総会での 9月21日の発言より)

> (ロシアが)特殊軍事作戦の段階を離れ、大規模な武力紛争に近づいていると私は想定しています。今、問題はどこにあるのかということです。

> そして、特定の時間後、おそらく 1か月か 2か月後に、第二次世界大戦以来見られなかった大きな世界紛争に入るかどうかです。

 

なぜ、このセルビアの大統領の発言に注目したのかというと、「この人はディープステート側だから」です。「世界経済フォーラムのメンバーは全員悪いのか?」というと、そうです。そして、彼らは「予告」します。

 

2008年のリーマンショックは、2007年に IMF によって予告されていました。

(2007年4月の米ロイターの報道)

> 米国のサブプライム住宅ローン市場の崩壊が関連市場に広がる可能性があると国際通貨基金 (IMF)は 4月10日に警告した。IMFは、半年ごとの世界金融安定性報告書で、サブプライム市場の落ち込みは、住宅全体の低迷のこの時点で予想よりも急速だと述べた。 (Reuters)

新しいタイプのコロナウイルスによるパンデミックも、世界経済フォーラムによって、発生2ヶ月前に「予告」されています。

[記事] 武漢ウイルスが出現する2ヵ月前、アメリカの科学者が「次に発生するコロナウイルスのパンデミックは《地球上の6500万人を殺す》」というシミュレーションを公表していた  In Deep 2020年1月27日

 

今、予告されているのは、最初のほうに書きました食料と、そして、セルビアの大統領などが言うような世界的な戦争、そして、「リーマン級の市場崩壊の可能性」がフィンランドの経済相などによって伝えられています。 

(9月6日の米国メディアより)

> EU の一部の国では、エネルギーデリバティブ市場の崩壊を回避するために、すでに基金を設立することを決定している。フィンランドとスウェーデンは今週末、電力デリバティブ市場で取引するエネルギー企業を支援する計画を発表し、エネルギー産業と金融システムでの「リーマン」的イベントを回避しようとしている。

> 「これは一種のエネルギー産業のリーマン・ブラザーズの要素を含んでいる」と、フィンランドのミカ・リンティラ経済相は 9月4日、ヨーロッパのエネルギー危機についてコメントした。 (oilprice.com)

ここに、

> 「リーマンブラザーズ」的イベントを回避しようとしている。

とありますが、ヨーロッパのエネルギーの状況は、この頃よりさらに悪化していますので、回避されるかどうかわからないですが、リーマンショックの時もそうでしたけれど、「事前には一般の報道ではほとんど何も伝えられないことが多い」ために、「まるで突然起きたように見える」 ことが多いです。

しかし、ロシアのウクライナ侵攻も、先ほどのように、14年間という長い期間のアメリカによる挑発の結果として動き出したものです。

突然ではありません。

仮に、今後、リーマン的なことが起きても、ランド研究所の文書とされるものに書かれてある通りなら、「突然ではない」ということになります。

長い時間をかけて、ヨーロッパは崩壊へと仕向けられて、そして、今度は、全世界が戦争という状態に突き進む可能性が出てきてしまいました。

もちろん、どこの国でも主流メディアは何も報じないままですので、今度も「突然起きた」ように見えるのかもしれません。戦争も、市場の崩壊も、食料の枯渇も。