今回はIn Deepさんの2024年8月2日の記事を紹介します。
「日本が金融ツァーリ・ボンバが世界に解き放たれるのはいつか」
In Deepさんのサイトより https://indeep.jp/japan-s-fuse/
市場が史上2番目の下げ幅を記録した日の夢想
今日(8月2日)、日経平均が暴落したという報道がなされていまして、「ブラックマンデー以来の下げ幅」と報じられています。
まあ、1987年のブラックマンデーのときの日本の 1日の下落率は、約 15%に達していまして、今回の下落は 5.8%程度ですので、当時と比較になるほど激しいものではないですが、大きいといえば大きな下落でした。
まあしかし、これまでの期間で結構下がり続けていたこともありまして、痛手を被った方々も、あるいは逆に潤った方々もいらっしゃったでしょうが、今日のような一過性の出来事はともかくとしても、今の日本には危機的な要素がとても多いという現実があります。
来週来月がどうなるという話ではなく、それほど遠い先ではなくとも、「どうしようにも手のつけられない問題」が各所に出てくると思うのですよね。
記事としては、最近の以下の記事のタイトルなどのものもあります。
(記事)「カナリアが日本の炭鉱の中で中性子爆弾を踏んだ」:日本が導く終末的な金融危機
In Deep 2024年6月24日
あるいは、昨年の以下の記事のタイトルとか。
(記事)「最初は徐々に、次に突然すべてが崩壊する」
In Deep 2023年4月18日
少しずつ積み上がっているものが、システミック(全体的)なメルトダウンのような事態に結びついていった場合、とんでもない勢いで崩壊に連鎖するということも、過去にはありましたし、今後もあると思います。
今の日本は、わりと常に「その導火線を握っている存在のひとつ」だとは思うのですけれど、詳しいことは私にはわかりません。
銀行にしても、昨年は、アメリカの銀行がいくつか破綻しましたけれど、今年もアメリカでは、ほぼ確実に起きることが、最近の調査でわかっています。
そして、銀行については日本もです。
英フィナンシャル・タイムズが、「日本の地方銀行の預金大量流出を懸念」と報じていましたが、原因はそれだけではなさそうです。
「英紙が日本の地方銀行の預金大量流出を懸念」という報道
2024年7月12日
最近、ゆうちょ銀行が「有価証券の含み損が 1兆 4000億円以上ある」ことを「こっそり」と報告していましたが(含み益は 3200万円)、こういう状況にある銀行は非常に多いと見られます。
ゆうちょ銀行
そんな中で、最近、日本銀行が利上げをしましたが、この利上げというものについての作用も私にはまったくわかりません。
わからないのですが、先日、この日銀の決定があった直後に、米ゼロヘッジがそれについて記事を投稿していました。ゼロヘッジは、日銀の政策と対応については、常にずっと批判的です。
これを読む限り、これからの日本にどんなことが起きるのかは定かではないとはいえ、かなりのリスキー街道を私たちは進んでいく可能性があります。
シートベルトをかなりきちん締めないと、振り飛ばされてしまう人たちも出てくるような荒々しい行程がこの先広がるのかもしれません。
もちろん、何事もなく安寧に進んでいけばいいのですけれど、皆様はどうなるとお考えでしょうか。
「彼らはルールを変えている」:日銀は円暴落を抑えるため、弱体化する経済に利上げで衝撃を与える
"They Are Changing The Rules": BOJ Shocks By Hiking Into Weakening Economy To Contain Crashing Yen
zerohedge.com 2024/07/31
日本銀行は政策金利を 0.25%に引き上げ、月々の債券購入額を半減させる計画を発表した。これは金融政策を正常化するための決定的な、しかし失敗する可能性のある動きである。
米連邦準備銀行および他のすべての中央銀行が反対方向に動くか、すでに急速に動いている中、常に混乱している日銀の金融引き締め政策への転換は、記録的な円安を引き起こした金利差を縮小させ、世界の通貨市場に大きな変化をもたらすだろう。
また、日本経済が再び減速し、インフレが定着せず、賃金の伸びが鈍っている時期にも起こっている。これが、前回のゼロ金利政策の失敗以来、最も短い金融引き締めサイクルとなる理由でもある。
7月31日の決定を受けて日本円は 1%以上上昇し、ドル/円はドルに対して 150円を下回った。
日銀は賛成 7票、反対 2票の多数決で翌日物金利を従来の 0~ 0.1%から 2008年後半の世界的金融危機以来の高水準となる「0.25%前後」に引き上げた。
日銀は 3月、数十年にわたる断続的なデフレを経てマイナス金利政策を終了した。
日銀はまた、2026年春までに月間 6兆円の債券購入プログラムを約 3兆円に縮小すると発表したが、これは多くの人が予想していたよりもはるかに遅いペースになるだろう。
具体的には、日銀は毎月の債券購入額を四半期ごとに 4000億円削減し、2026年第1四半期には 2.9兆円に減らすとしている。市場は 8月から月間 1兆円を予想していた。
「日銀の利上げはタカ派的な展開だが、量的引き締めが予想より少なかったことで、ある程度緩和されている」と RBC キャピタル・マーケッツのアルビン・タン氏は述べた。
「要するに、今日の日銀の決定は、会合に織り込まれたタカ派的な市場の期待を大きく上回るものではない」
ATFX マーケッツのチーフ市場アナリスト、ニック・トワイデール氏は、日銀の量的緩和縮小は「予想よりはるかに少なく、円に大きな打撃を与えている。動きの速い市場ではギャップが見られ、昨夜のポジションを考えると、今後数時間でさらにギャップが見られる可能性がある」と同意見だ。
本日の利上げは、日本政府高官たちがここ数週間、異例の率直なコメントを出し、日銀に超緩和的な金融政策を解消し、円安を食い止めるよう圧力をかけた後のことである。
日銀の植田和男総裁は 7月31日の記者会見で、経済状況と物価動向が「順調」に推移していることから今回の利上げを決定したと述べた。しかし、円安によるインフレ上昇リスクも要因の一つであると認めた。
植田氏は、経済情勢やインフレが予想通りに推移すれば「政策金利の引き上げを継続し、金融緩和の度合いを調整する予定だ」と付け加えた。
政策決定を前に、トレーダーたちは日銀が短期金利を引き上げる可能性について真っ二つに分かれており、一部のエコノミストは一連の弱い経済データを受けて、その動きに警告を発している。変動の激しい食品価格を除いたコアインフレ率は6月に前年比2.6%上昇し、日銀の目標である2%を27カ月連続で上回った。しかし、円安と生活費の上昇が家計支出を圧迫したため、日本経済は今年最初の3カ月で縮小した。
「日銀が弱い経済データを無視して行動することを選んだことは非常に残念だ。今では円安に対抗するために動いたように見える」とUBSのエコノミスト、足立正道氏は述べた。
「日本経済の正常化はもともと非常に不安定だったが、日銀はそれをさらに困難にした」
足立氏の指摘は正しい。なぜなら、日銀自身の過去の措置の結果である、暴落する円への圧力を緩和するよう政府から圧力を受けたことで、中央銀行は次の危機をさらに悪化させただけであり、それは残酷なスタグフレーション不況に加えて債券市場危機も引き起こし、日銀に最近の措置のすべてを解消し、さらにそれ以上のことを強いることになるからだ。
日銀は予測の中で、2026年3月期の消費者物価上昇率は 4月に予測した 1.9%ではなく 2.1%になると予想している。もちろん、その頃には世界はデフレに陥り、日本は古き良きマイナス金利政策に戻るだろう。
ムーディーズ・アナリティクスのシニアエコノミスト、ステファン・アンリック氏は、日銀が円のインフレへの影響を新たに重視していることを指摘したが、需要主導のインフレがない中で中央銀行は依然として「弱い経済に向けて利上げを進めている」と付け加えた。
「日銀はルールを変えているという事実を明確にする必要があると思う。彼らはゲームに勝っているわけではない」とアンリック氏は語った。
同氏は次回の利上げは 12月になると予想し、FRB が利下げを始めれば日銀への円圧力は弱まる可能性が高いと指摘した。
日銀の利上げ期待の高まりにより、7月31日の会合を前にして円はドルに対してすでに上昇していた。この反転は、今月初めの政府による 5.5兆円の自国通貨購入によって促進された。市場介入により、大量の円売りポジションが市場から締め出され、いわゆるキャリートレードが抑制されたとトレーダーたちは述べた。
しかし、ヘッジファンドは依然として日本円の空売りポジションをかなり抱えている可能性が高いため、日銀の動きと 31日遅くの FRB のハト派的な姿勢が相まって、たとえこれが長い間最後であったとしても、円の急激な上昇を再び引き起こす可能性がある。
野村の主任為替ストラテジスト、後藤祐二朗氏は、日本の個人投資家が米国株への大口投資を解消し、ドルの利益を再び円に転換することに決めた場合、円の上昇の勢いが加速する可能性があると述べた。そして、ここ数週間の米ドル円の暴落から判断すると、まさにそれが起こっている。
そして、日銀が量的緩和をほぼ全面的に( 6兆円から 4000億円減)続けているにもかかわらず、金利を 0.15%引き上げることがどういうわけかタカ派的とみなされているのはおかしいと指摘する人たちには、私たちも同意する。これはおかしい。