今回はIn Deepさんの2024年08月28日の記事を紹介します。
「サハラ砂漠で今後「数日間で数年分の雨が降る」予測から見る、すでに始まっている地球規模の大きな変化」
https://indeep.jp/unexpected-rainfall-event-starts-in-the-sahara/
地球の緑化は続く
来る 9月に、世界で最も乾燥した広大な地域であるサハラ砂漠に「数日間で数年分の雨が降る」という予測が出されています。
今、日本は台風10号の接近を受けていまして、こちらはこちらで大雨で厄介なことにもなりそうですが、しかし、台風は毎年発生して、ある程度の回数は日本に接近する「定期的な事象」であるのに対し、サハラ砂漠で予測されている豪雨は非常にレアな現象です。
たまにご紹介させてただく気象分析サイトのシビア・ウェザー・ヨーロッパのアナリストがこれについて詳しく解説していました。
今回はその記事をご紹介させていただこうと思いますが、シビア・ウェザー・ヨーロッパの記事は、どれも非常に長いものですので、あまり前振りはしませんが、9月に予測されているアフリカでの「今後 16日間の平年との雨量の差異」は以下のようになっています(左の図)。
ちょっと位置関係がわかりにくいですので、右にアフリカ大陸のマップを置いています。
ちなみに、なぜ、その記事をご紹介しようと思ったのかというと、以前、「地球が著しい速度で緑化している」という記事を記したことがありました。
原因は、「二酸化炭素の増加」によるものなのですが、米イェール大学のリリースには以下のように書かれています。
CO2 を豊富に含む空気は、植物が乏しい水を効率的に利用できるようにすることで、最も乾燥した場所でも植物の成長を促す。yale.edu
現在の地球は二酸化炭素が多く、植物は「乾燥した地域でも育ちやすい」状態になっているのです。
さらには、「世界で最も乾燥した土地である南米チリのアタカマ砂漠で、今年もまた花が咲き乱れている」という記事を最近書いたこともありますが、一度、「植物の種子の生命が呼び起こされれば」、その後、どんな場所でも「緑化しやすい」のが今の地球だと思っています。
以下の砂漠の花も「異常といえる豪雨」に種子が呼び起こされたことにあります。
花が咲き乱れるアタカマ砂漠
冒頭の写真は、アラブ首長国連邦の報道にあったもので、
「大雨が続いた後、ずっと砂漠だった場所が緑につつまれた」
ことが報じられています。
何十年も UAE に暮らす人たちでも、この地が植物におおわれることなど見たこともないそう。以下がオリジナルの写真です。
ここは砂漠だったんです。
そんな感じで、何だかこう「世界中の砂漠が緑化し続けている」ことに興奮を覚えまして、それなら、
「サハラ砂漠も緑化していくのではないか」
と思った次第です。
もともとサハラ砂漠は、数千年前までは、植物にあふれた大地だったことがわかっていて、シビア・ウェザー・ヨーロッパによれば、
> 地球の軌道の変化により、世界の気象パターンが変化した。その結果、緑豊かな地域は突然、地球上で最も乾燥した土地に変わった。
ということだそうですので、また地球規模の変化と共に、その数千年前に向けて動き出しているのかもしれません。
そういえば、サハラ砂漠よりずっと南にある国ですが、ナイジェリアでの洪水が壊滅的になっていることが報じられています(翻訳記事)が、アフリカも含めて、世界全体で降雨の状況が著しく暴力的になっています。
大きな洪水も世界各地で大変に多いのが現状です。
日本や東アジアが今のこの地球規模の変化の影響をどれだけ受けるかはわからないですが、何の影響もないということは「ない」と思います。
ここからシビア・ウェザー・ヨーロッパの記事です。大変に図版の多い記事で、一部は図版へのリンクの形とさせていただいています。
サハラ砂漠で予想外の降雨が始まる:珍しい気象現象
Unexpected Rainfall event starts in the Sahara Desert: A Rare Weather Phenomenon
Andrej Flis 2024/08/27
地球上で最も乾燥した場所としても知られるサハラ砂漠で、特異な降雨現象が起ころうとしている。降雨量は通常の基準からするとそれほど多くないかもしれないが、サハラの大部分では、8月と 9月に通常の月間降雨量の 500%をはるかに超える降雨が予想されている。
サハラ砂漠でこのような降雨現象が発生することはあまりない。非常にまれで、平均して 10年に 1回未満だが、このようなことは、通常は地球の気象システムに何らかの変化が生じている兆候であり、大気の異常な状態を示す。
地球上で最も乾燥した場所
サハラ砂漠は年間降水量がほとんどないため、地球上で最も乾燥した場所と言われている。西は大西洋から東は紅海まで広がる、世界最大かつ最も暑い砂漠だ。面積は 920万平方キロメートルを超える。
サハラ砂漠
この地域は、恒常的な高気圧である亜熱帯高気圧の下にあるため、暑く乾燥している。この高気圧により空気が下降し、大気が乾燥して安定し、雲の形成や降雨が抑止される。
しかし、サハラ砂漠は常に暑い荒れ地だったわけではない。ほんの数千年前(6000 ~ 11000 年)には、湖や川、豊かな植生のある緑豊かな地域だった。しかし、地球の軌道の変化により、世界の気象パターンが変化した。その結果、緑豊かな地域は突然、地球上で最も乾燥した土地に変わった。
天気と降水量
下の画像は、過去 53年間の 8月の月間平均降水量を示している。サハラ砂漠地域ではほとんど降水がなく、南部の地域でわずかに降水量があるだけであることがわかる。しかし、赤道全域で降水量が非常に多いことに注目してほしい。
この熱帯の降雨帯は、熱帯収束帯(ITCZ)と呼ばれる。基本的には、赤道全体に広がる雲、にわか雨、嵐、降雨の帯だ。この特徴は、両半球からの貿易風が出会い、上昇気流、雲、雨を生み出すために生じる。
熱帯収束帯は、熱帯諸国の天気と気候に影響を与えるため、非常に重要だ。また、熱帯収束帯は、地球規模の気象システムにも影響を与え、熱帯暴風雨の形成にも影響を与える可能性がある。サハラ砂漠の降雨現象も、熱帯収束帯の変化と移動に依存している。
こちらのデータは、アフリカ上空の熱帯収束帯の位置をさらに詳しく示しているが、6月以降、熱帯収束帯が通常よりもずっと北に移動していることがわかる。
これにより、この地域の気象パターンが劇的に変化し、大西洋のハリケーンシーズンにも影響が及ぶ可能性がある。
熱帯収束帯全体が北に移動したため、強い雷雨システムは高緯度で冷たい海域を通って大西洋に移動するが、これは、アフリカの熱帯収束帯の位置が北米の天候、特に米国のハリケーンシーズンに及ぼす間接的な影響の 1つにすぎない。
しかし、この北方への移動による、より直接的な影響は、サハラ砂漠の奥深くに珍しい降雨現象をもたらすことだ。
砂漠に雨が降る?
サハラ砂漠の半分以上では、年間降雨量が 25ミリ未満だ。時折、熱帯収束帯が上下に移動する南部では降雨量が多くなるが、しかし、砂漠の大部分で大雨が降るのは、おそらく 10年に一度もない。
以下は、今後 16日間の総降雨量に関する最新の GFS モデル予測だ。ご覧のとおり、サハラ砂漠の大部分を覆う降雨量だ。降雨量そのものは多くないように見えるかもしれないが、年間の総降雨量を考慮すると、多くの地域で「数日間で数年分の降雨量」が予測される。
異常値を見ると、非常に明確な状況が分かる。異常値とは、通常値からの逸脱だ。降雨量異常の総合予測では、サハラ砂漠の大部分で今後 2週間、おそらくそれ以降も広範囲にわたる降雨量異常が発生することが示されている。
多くの地域で 2週間の間に数年分の雨が降ると予測されていることがわかる。
ヨーロッパ中期予報センター(ECMWF)の 9月初旬の長期降水量異常予測でも、サハラ砂漠の大部分で著しい降雨異常が発生することを示している。砂漠の大部分で来月も降雨は続くと予測されている。
9月をさらに詳しく見ると、以下の画像に通常の降水量のパーセントの予測が表示される。
ご覧のとおり、サハラ砂漠の周辺では降水量が最大で 500%に達している。これは、今後数日から数週間で中央部で通常の降水量の 1000%を超える降雨量が見込まれることを示している。
珍しい気象現象
8 月のサハラ砂漠の降水量のグラフからは、過去 53年間の各 8月の降水量異常がわかる。異常が大きく降水量が多いのは 4年間だけであることがわかる。過去 50年間で 4回発生しており、10年あたりで 1回未満ということになる。
1994年には強い降水量が 1回だけ発生した。2024年のデータはまだ入手できておらず、全体像を把握することはできないが、予測に基づくと、少なくとも過去数十年で 2番目に降水量が多い年になるだろう。
1994年の降水量異常をマップで詳しく見ると、サハラ砂漠の全体的な降雨異常は、9月の現在の予報で見られるほど広範囲に及んでいなかったことがわかる。
ここから見ると、今年のこれからの出来事は、今回が最も雨の多い年にはならないにしても、歴史上非常に重要な年になる可能性があることを示唆している可能性がある。
米国やヨーロッパ全域に、どのような秋や冬が到来する可能性があるかについてはまだ調査が完了していない。
しかし、一つ確かなことは、このような強くて珍しい気象異常は、地球規模の気象システムの大きな不安定さを示している可能性があるということだ。