今回は「いっぷくからありがとう」さんの2023年05月09日の記事を紹介します。
「トントンという音」
今日は医師である鎌田實さんのお話をご紹介します。
何気ない平凡な生活の中にある、美しい心に関するお話です。
私たちの心の世界は
・見える世界(物質的な、目の前の世界)
・見えない世界(冥界、神々の世界)
をも包括するほど重要で、広大なものです。
自分の心を清浄(ピュア)にすることで、私たちは真の幸せを手に入れ、
神々と直接的に繋がることができることでしょう。
わざわざ、パワースポットに出かけたり、お金を払って、誰かに頼る必要が無くなります。
このブログでは、いつも「心の世界」のことを中心に書いています。
幸せになるための王道だからです。
また今後の地球にとって、私たち人類の心の浄化こそが、大変重要だからです。
大切なのは人を憎むことではありません。
人にお任せすること、頼ることでもありません。
「心の世界」のお話は大変地味です。
・お互い様、おかげさまの心で生き
・他人に優しく、寛容に
・感謝の心を持って生きよう
など、平凡なものかもしれません。
ですが、宇宙神と同じ立場に立ったブッダも、イエスも
同じことを、おっしゃっていたのではないでしょうか?
どうして、このお二人が、同じことをおっしゃったかといえば
心を洗うこと、整えること、そのことこそ、見える世界、見えない世界を超えて
神々へと至る道筋だからではないでしょうか。
自らの足で、しっかりと大地に立ち、何者にも、何事にも、依存せず、執着せず
神々へと真っすぐに進む道だからです。
この道は、生も死も、時間も空間も超え、真の幸せを分かち合う道だからです。
では鎌田實さんのお話をご紹介します。
<引用開始> 引用元
生きるって大変なこと。
これまで、たくさんの生と死に関わって生きてきました。
73歳のおじいちゃんの話をしましょう。
徐々に痩せてきました。
背中が張ると言って、外来にやってきました。
血液の検査や超音波検査、CTの検査をしました。
後腹膜に腫瘍が見つかりました。
すい臓がん。
リンパ腺にも転移がありました。
ご本人と優しい奥さんと、何度も治療法について話し合いをしました。
東京の息子さんも話し合いに参加しました。
おじいちゃん自身は、「もういいな。手術はしたくない。抗がん剤が少しでも期待できるなら、苦しくない範囲で1回試してもいい」これがおじいちゃんの自己決定でした。
自分の行く道を自分で決めたのです。
奥さんも息子さんも賛成しました。
僕自身がこの人の立場だったら、僕もこの選択をしたかなと思いながら、
「全力で支えさせていただきます」 と何度もの話し合いをまとめました。
ご本人の希望で緩和ケア病棟に入院しました。
「やるだけのことはやった。もういいな。とにかく苦しいのは嫌だな」
緩和ケアが始まりました。
痛みが取れると、彼は再びニコニコし始めました。
それでもご飯は食べられません。
「匂いを嗅いだだけで食べられなくなる」
「でもね先生、もう1回ご飯が食べたいな」
横についている奥さんが黙ってうなずきました。
「先生、1回外出させてください。気分を変えてあげたい」
根拠はないけどいいことだと思いました。
賛成、賛成と背中を押しました。
おじいちゃんもニコッと笑顔を見せました。
翌日、息子さんは東京の会社を休み、飛んできてくれました。
お昼から半日、家に帰りました。
夕方7時頃、おじいちゃんが病室に戻ってきました。
病室へ伺うと、おじいちゃんはニコニコしていました。
「先生、トントンがよかった」
「トントンって何ですか?」
「家に戻って、いつも自分が座るところに座って、夕陽が落ちるのを見ていました。
先生、夕陽がきれいでね。
目を奪われていたんです。
この庭も見納めかなと思っていました。
その時です。
お勝手からトントンという音が聞こえだしたんです。
女房のまな板の音です。
こんな音、何十年も聞き続けていたはずなのに、一度も意識したことがありませんでした。
女房もきっと意識していないんです」
奥さんが言葉を受け取った。
「何も意識していません。でも、この人が家に帰ってきてくれて、
私はうれしくて、無意識の中で心が躍っていたんです」
おじいちゃんが続けた。
「まな板のトントンという音を聞きながら、生きてきてよかったと思ったんです。
シューッとご飯ができあがる音も聞こえてきました。
匂いも伝わってきたんです。
食べ物が運ばれてきても、その匂いだけで吐き気が出てたべたくなかったのに、
音も匂いも心地がいいのです。
先生、食べれたよ。
お茶碗に3分の1ぐらいだけど、うまかった。
もう思い残すことはありません」
奥さんと息子さんが下を向いて泣き出しました。
このおじいちゃんは間違いなく生きている。
死は近づいているかもしれない。
けど、そんなことはどうでもいいんだ。
いま生きているという実感が大事。
<引用終了>
何気ない日々の生活の中にこそ、人の優しさや、思いやりが含まれているのですね。
見える世界、見えない世界、不思議なことは、ワクワク楽しいかもしれません。
ですが、それはまさに、孫悟空が、いろんな冒険をし、宇宙の果てまで行ってきたのに、
結局は、全てはブッダの手の平の上の出来事であった。。
と同じことかもしれません。
地味かもしれませんが、
・他人に優しく、自分にも優しく
・お互い様、おかげ様と謙虚に
・相手を許し、認め、個性を尊重し
・元気の出る言葉、喜ぶ言葉を口にし
・周りの人や出来事に感謝して
日々過ごすことが、神さまに似せて作られた人間にとって、一番大切なことなのかもしれません。