会場には既に参加者の方々が集まって来ています。初参加の方々をSさんから紹介されましたが、一人の方からその健康上の問題を伺いました。
その女性の方は農家の奥さんで10年程前から腰痛でどんどん悪化して、7年ほど前に椎間板ヘルニアと言う診断で手術を受けたそうです。それ以降どうにか過ごしていたのですが、最近足の痺れと麻痺が起きていて難儀をしているとのことです。彼女の姿は極端に左の腸骨が上方に上がり外にそり出る感じで5センチ近くも左右の高さの違いがあり、背骨は極端に湾曲しています。何とも言えない状態で、是では大変な事と思います。Sさんの教室に通い始めているとの事で、この状態でストレッチ板を使用して良いのかとの質問です。
身体の背中の腰辺りを触ってみましたが明らかな筋肉の硬直があります。少し補導体操的な事をしてみましたが良好な変化が見られましたので、ご自分で体操などの自己メニューを日日行い、自助努力で取り組んでみて頂くように指導しました。
彼女への少し指導が長引いてしまい、1時半を過ぎてしまいました。少し遅れて体操教室の開始に成りました。
私の指導のポイントは、自分で諸々の体操をしてみて、事前の状態と事後の身体の状態を比較して自己判断して頂き、その変化を確認してもらうことが先ず第1です。もしも良好な変化を体感でき、身体の柔軟さ、軽快さ、痛み等の諸症状の軽減が確認出来たら、今行った体操、手技が有効だと認識して頂くことが出来ます。
今回は真向法の基本4動作の前に、30分ほど一人補導の色々なメニューを指導しましたが、事前の体前屈、片足立ちよりも事後のその動作がはるかに軽くスムーズに出来る体に変わっていることに全員が体験できました。嬉しき第1歩です。
後は、自分で健康な身体を目指して、可能な限り自助努力で、日日必要な修練を重ね、継続して行こうと言う決意です。例え、良いと分かっていても人間は怠け者です、継続出来る為の秘訣が必要になりますが、それは同じ目的で集まり努力している仲間の集う場に参加することです。今迄、経験していない修練を行う上で、色々な疑問や問題点が生じるのは当たり前です。良き指導者に善導して頂き、同行同修の仲間との情報交換、交流の時を得ることは励みになります。幸い、南相馬教室があり、良き雰囲気で楽しく和気藹々と健康を目指す格好な場が用意されていますので恵まれています。
高齢と共に膝、腰、足に不調を来たす方が沢山います。今回もぎっくり腰の方、膝が痛くて正座が出来ない方、和式トイレ座りが出来ない方などいましたので、全体の指導テーマは正座が出来る様に、出来ないとしても和式トイレ座りが出来る、更に来たときよりも軽快に明るく希望を持って会場を去れることです。当然、真向法の素晴らしさに感動してもらうことが第1です。
生活の洋風化で和式トイレは姿を消して来ています。しかし腰痛、腰の疲労、歪みには和式トイレ座りが有効です。教室の生徒さんにも和式トイレ座りをしてから真向法体操をするように指導しています。
今回は半数の方々は直ぐに一人でこの座りは出来そうにありません。二人ペアで手を取り合って和式トイレ座りをして頂きました。腰が途中までしか下ろせない方も大勢いますが相手の支えでどうにか可能なところまで膝を曲げることが出来ます。
何度か繰り返し、次に正座の座り方の指導です。これも中々難しいですが可能な範囲でチャレンジです。
昔は当たり前の日常動作が今は省略されたり、やられなくなり、日本の文化の良き身体動作の基本が無視されて来ていることで、その弊害が健康被害をもたらしている感じがします。入念に筋肉を緩め、関節の可動性を広げ、血液、気の巡りを良くする各種動作を繰り返し指導しました。
最後に、又二人ペアになり手を取り合って、片足ケンケンです。恐る恐るする皆さんもどうにかできました。そして仕上げは皆さんでスキップです。皆さんに提案すると驚きの声です。何十年もしたことが無いようです。しかし、全員で同じ方向に向かって会場をスキップして回り、逆回転も出来ました。大きな歓声が上がりました。ほとんどの方が出来たのです。