2019年8月11日日曜日

1761「坐禅断食の理法6」2019.8.11


 野口法蔵師の坐禅断食の理法を簡単に紹介します。
・腸を働かせて健康に
 断食の効能を考えるキーワードが「宿便」です。人間の腸の中には「宿便」というものがあり、断食によってそれを体外に出すことを目指す。それが出来れば単に肉体的な健康にとどまらず、身心ともに健康になる、という考え方です。
 「宿便」は医学用語ではなく、医学界では「宿便」は存在しないと、長らくされてきました。しかし最近の研究でやはり存在すると注目されています。
 「宿便」とは、溜まっている便でなく、一番長い消化器官である小腸の中にある、粘液の一種だという事です。その量は体重60キロの人で約4キロにも及ぶという事です。
 この「宿便」が栄養の吸収を阻害しますので、「宿便」を出す事で栄養の吸収率が高まり、小食でも満足するようになってきます。腸の働きが活発化して血流が良くなります。
 「腸脳」という言葉が最近使われ始めましたが、腸は脳とは別に独自に体内の様々な器官をコントロールする能力があるという事です。その腸の働きが悪いと体の免疫力が落ち、神経系統のバランスも崩れます。腸は体の働きの大きな要であり、だから病気の原因の多くが腸の働きの不調によるものではないかと考えられ始めているのです。

 アメリカの医療機関の研究では、現代人の多くが慢性の消化不良に陥っており、昔の人に比べ栄養の吸収力が落ちているとのことです。だから良い物を食べても排泄される割合が多く、排泄されればまだよいのですが、排泄されないと腸内にそれが残留します。そこからガスが生ずるなどして毒素が発生し、偏頭痛などの様々な症状が引き起こす原因となります。
 従って腸を働かせ、宿便をとることで現代人を悩ませている多くの症状が改善します。アレルギーもその良い例のひとつです。食べ物で腸が傷ついた場合、その傷から抗体が入る事でアレルギーが発生すると言われています。腸の傷は本来であれば皮膚同様に3日間あれば回復しますが、食べ続けているとなかなか治りません。腸の働きを良くして、新陳代謝を高め、一旦食事を止める。そうすることでアレルギーも治りやすくなるのです。食べ物が腸を傷つけるという事は、固いとか尖がっているとかでなく、質の悪い食べ物、有害な食べ物が腸にダメージを与えるということです。そういうものを体にいれないことが大切になります。

 「宿便」といわれる腸の粘液が、どういう時に増えるのか興味深い事実があります。それは悪い食べ物が腸に達したときでなく、それが口に入った瞬間に増えるのだという事です。動物には本来驚くべき能力があり、毒草などの有害なものは食べません。食べる寸前にその臭いなどで察知します。
 人間はこの能力が他の動物に比べて弱いのですが、それでも口の中に悪いものが入った瞬間に、それを呑み込む前に毒であると察知して、それを吸収しないように小腸の粘液が増加するのです。脳を介さずに舌と小腸とが繋がっているのです。

 現代では食品添加物や合成保存料、農薬や化学肥料と言った、数多くの化学物質が食品に含まれる様になり、小腸の粘液が増加する場面が多くなっています。そのために「宿便」の影響は大きく、それを取り除くというのが断食の目的です。