2019年8月16日金曜日

1766「坐禅断食の理法11」2019.8.16

・効果的に坐禅をすれば体温が上がる
 私達の坐禅で得られたデータによれば、先ほど述べた体制での1分間に4呼吸、5秒で吸って10秒で吐くと言うリズムを保ちながら20分以上この呼吸を持続できれば、交感神経が最も良く働くようになります。
 そして従来は交感神経の働きが高まれば副交感神経の働きが抑えられると考えられてきましたが、最近の計測機器による測定ではそれと異なる事実が明らかになってきました。すなわち交感神経と副交感神経の働きは両方とも下がることもあれば上がることもあるということです。
 つまり両方とも働きが上がっている状態とは交感神経の作用で体がいい意味で緊張しているのに、副交感神経の作用で脳はリラックスしているという事です。この状態になった時に悟りという出来事と同じことが起きるという事です。
 ですから今まで、松の枝を揺らす風の音や小石が竹に当たる音、カラスが飛び立つ羽音などを聞いて、何々禅師が悟った、というような仏教の逸話がいろいろ伝えられていますが、想造するにこの状態ではないかと考えられます。
 この状態を意識的に作っていけば「悟り」というものに到達しやすくなります。それは短くてもよいので坐禅をすることが有効です。坐禅を続ける時間は20分であっても1時間であっても今の所データを取ってみると効果はあまり変わらないようです。
 ただ20分を切ると効果があまり見られないので時間は20分以上が望ましいです。そして呼吸数は1分間当たり4回、20分であれば80位の呼吸数で抑えられればとても効果的に坐禅をしたと言えます。可能であればそれより更に遅く呼吸をしても良いでしょう。

 このような坐禅を会得しておくと、チベットの極寒の中でも自分の体温を上げることが出来ます。血流が増すので体温が上がるのです。また血液中に赤血球や白血球、血小板などの免疫力を司る成分が含まれ、活性力を血液によって体の隅々にまで運んでいると言えます。血液の循環が活発であれば病気の予防や改善をする力が出て、精神的な疾患であっても好転することがあります。

 坐禅の効果を測る上で、ひとつの目安となるのは体温です。0.01℃位迄測れる体温計で坐禅の前後で自分の体温を測定して比べてみて、体温が上がっていれば効果的な坐禅ができたと言えます。
 0.3度とか0.5度の幅で体温が上昇していれば、とても集中出来たということになると思います。0.3度体温が上がっていれば測らなくても自分で感じます。手が熱く感じられます。
 そういうことをしてチベットの寒いお寺では凍傷を防いでいました。このレベルに達す
ると本当に坐禅が身についていると言えるでしょう。

・坐禅には菜食がいい
 食べ物でも体温を上げる事が出来ます。アメリカで活躍しているローフードシェフのいけやれいこさんと言う方がいて、火を入れない野菜だけで料理を作ります。火を入れないことで酵素食という腸内菌を最高に増やすための食事にするのです。いけや先生の料理を食べると体が冷えたりせずに熱くなって来るのです。
 甲田光男先生が指導していた昔の玄米採食の生食と同じような効果があります。これは菌の働きによるものです。腸の中の菌がこの食事によって活性化したという事です。
(途中略)
 やはり坐禅をするには菜食が良いと思います。これも自分で体験してみて分かる話です。それから日本の多くのお坊さんは耳が痛いと思いますが、お酒は出目でしょう。アルコールは腸を緩め、脳のビタミン不足をもたらしますので、お酒を飲むような生活をしながら坐禅をしていても全く効果はありません。
 医師のみなさんも飲食をする人が多いようですが、アルコールによってどんどん頭の中が壊れていくでしょう。一度壊れた脳細胞は元に戻りません。悟りを求めるならば、仏陀が定めたようにお酒はいけません。行に取り組み人もお酒を飲んでいるといざというときに直観が働かずに死ぬと、仏陀は言っています。回峰行の中で転がり落ちてくる石を避けられないというようなことを指すのでしょう。修行をする人がお酒を飲んでいてはだめなのです。