・鬼面石 南陽市金山
「鬼面石」については、現・南陽市の民話に次のような話が伝えられている。即ち、
「「鬼面石」のある山には大蛇が棲んでおり、金山地区からの登り口は「竜の口」とも呼ばれていた。大蛇は時に大雨を降らし、土砂を流して村を埋めたといわれ、「蟒み沢(おかばみさわ)」として恐れられていた(因みに、「蟒」は普通、「うわばみ」と読んで、大蛇を意味する。東北地方では「おかばみ」という大蛇がいて、一説には手足がある蛇だともいう。)。
「鬼面石」は「唐戸石」とも呼ばれていたが、そこには「隠れ座頭」という仙人が住んでいて、七日盆の日には向かいの山まで綱を張って忍術の道具や装束などを虫干ししたりしていた。この日には村人も決してこの山に近づかなかった。しかし、仙人も、「蟒み沢」の大蛇が暴れるのに堪り兼ね、金縛りの術で大蛇を押さえつけようとした。大蛇も大雨を降らせるなどして抵抗したが、ついに仙人の術が勝って、大蛇は小さな白蛇に変えられ、川樋地区の諏訪明神の使いにされてしまった。以来、川樋の諏訪明神は雨乞いの神として信仰されるようになった。」というもの。
現地の説明板には、異なる伝説が記されている。
「「鬼面石」には大きな洞穴があり、そこに鬼が棲んでいた。鬼は、ここを通る旅人を襲って金品を奪うので、人々から恐れられていた。鬼は、七日盆の日に、奪った着物を岩と岩の間に渡した竿に干したが、それを見た者は長者になるとも盲目になるともいわれた。」というもの。何だかよくわからない話で、長者と盲目では随分差があるし、長者になるなら皆見に行くだろう。
ところで、こうした巨石、特に「名のある」岩石は古くから磐座などとして祭祀・信仰の対象になることが多い。特に、関西に多いようだが、東北地方ではあまり聞かない。「鬼面石」は、鬼面という見立てが強いせいもあってか、民話・伝説の対象にはなっても、神聖性が低いようだ。ただ、「鬼面石」は、巨石の上に平らな石が載っている形になっている。こういう石を「笠石」ともいうようで、あるいは何かの祭祀を行った場所かもしれない。」
道路から鬼面石は見えます。神人さんが岩に登れるかと問うので、登れます。と答えたら行きましょう、という事になりました。皆さん元気に、急な道を登り、岩に到達しました。岩は鬼の面にも見えます。達成感に皆さんご満悦です。