彼は真向法の素晴らしさに魅せられ、又、私が主宰する天命塾、仙台テンメイの活動にも参加して下さり、座禅断食会にも15回ほど参加し、種々の学びと実践を継続して20数年が経っていました。生体エネルギー技術にも理解を示し、色々な器具、資材などを導入し家庭で活用してくださっていました。ありがたい、良き理解者です。
2014年7月28日に宮城真向法体操会が晴れて30周年の祝賀の時を向かえ、東京本部より佐藤良彦会長をお迎えして賑々しく祝賀会を開催しました。その時には、是までの功績に対して副会長のIさんは8段教師でしたが、錬士のお認めを頂けました。名誉な事と、とても喜んでいただけ、是までのご苦労、協力に少しでもお礼をできたかと思っておりました。
それから1ヶ月も経たない内になんとIさんが事故に遭われました。早朝4時ごろに起床されるのですが、二階の居室から降りる時に階段で転倒したのです。
結果的に頭蓋骨骨折で救急搬送されICUでいのちを取り止めることが出来ました。しかし暫く意識が回復せず、処置に頭蓋骨を切除して開頭することが必要で、余命も定かでないと医師にその選択を迫られたのですが、奥様はもし回復しないとしてもこのままでお願いします、との決断をされました。
結果的にICUから出ることが出来て小康状態になり、お見舞いに伺ったのですが、意識もまだ定かでなく寝たきり状態でした。しかし、なぜか私には一命を取り止めた彼はやがて回復するような気がしていました。
やがて総合病院から自宅近くの病院に転院され、やがてリハビリ専門病院に移り、最終的に昨年、自宅に帰ることが出来ました。それからは通院でリハビリに励んでいます。
会員も継続してくださっていて、2017年1月の真向法の中央修練会にお越しになり驚きの回復に皆さん大喜びでお迎えしました。ありがたき、嬉しきことです。
10月14日にIさんがかつて開設し指導していた富谷市大清水教室の修練会、段級審査に私がお招き頂き出席して来ました。20名弱の方々の参加で楽しき修練を皆さんと行いました。
最近の私の体操の指導は、先ず皆さんの今の身体の状態に気づいて頂く事です。身体には重力の負荷が必ずあります。その長年の身体の使い方による癖、アンバランスによる歪みがおきます。それに伴う筋肉のオーバーワーク、疲弊、過緊張を如何に解放してあげて、身体の自己調整作用を機能させるかがポイントです。
ですから下肢の重要ポイントの関節、足首、膝、腰のバランスを整えて緩めることを実践して体験して頂きます。この方法は私が独自に見出したもので今のところ、他になさそうです。自分の為に始めた手法ですが皆さんにお伝えしてみると事の外、効果があると皆さん喜んで下さっています。
朝起きて腰が痛くて動けない方がこの手法を実践するようになって劇的に改善したり、痺れた足で難儀していた方が麻痺が軽減してきたり、正座できなかった方が座れるようになったり、・・・。嬉しいお話を聞けてありがたいことです。
修練会は始めての方、あるいは今問題を抱えている方を中心に、その問題への考え方、改善方法をお伝えします。ほとんどは私が手を触れることなく、自分でして頂く動作です。多くの問題は、重力のアンバランス、患部を含めた身体の生体エネルギーの劣化、不足が原因と思います。ですからその2つへのアプローチで指導します。
そして最後は、ご自分で自分にかけているマインドコントロールを外すことです。年だからしょうがない。医者に治らないといわれた。体操で治るはずがない。などなど。しかし、身体を使ってその変化を体感すると体が喜び、改善への可能性、期待へのスイッチが入ります。
素直な方が一番良いようです。その点、男性は頭で考え納得して行動しますので女性が反応は良いようです。
富谷では2時間の内1時間50分は皆さんで数々の修練を実習し残り10分間で6名の方の審査を行ないました。皆さん良く出来ています。マイペースで日々努力です。
終了後は豪華な昼食会です。会場に調理室があり、参加メンバーの太公望が石巻市女川で吊り上げた巨大あなご、それに取れたて野菜の天ぷら、新蕎麦の打ち立ての盛蕎麦、漬物、デザート等々皆さんが調理して用意してくださいました。
この昼食会に合わせてIさんが参加くださったのです。嬉しい再会です。すこぶるお元気で歩行も一人で歩けます。食欲も人並みで、用意された食事を全て平らげて旺盛です。同行した奥様も笑顔で元気に参加出来る程に回復してお喜びです。
リハビリを始めた当初は介護5の認定だったのが今年は介護1の最低レベルになったとのことです。驚きの回復です。
色々お話しました。少し物忘れがあるとのことですが元気で普通に会話ができます。既に80歳を過ぎていますが、子供の頃に亡くなった実のお母様の事が良く思い浮かぶと言います。Iさんは誠実に社会貢献をなされ、自分を律して自修を怠らず、縁者を助けて生きてこられました。それらの行為が徳となり、いのちの預金になっていたのだと思います。
大難が小難で済み、更なるお役目を果たし、この世界で生を頂く流れです。生きて笑顔で居る事が皆さんへの大きなメッセージです。生死を彷徨い、ある体験をされたようです。やがて人生を振り返り、書に纏められる事をお勧めしてお別れしました。
身近に善き先輩がある事はありがたいことです。これも私の自己調整機能です。