2017年11月5日日曜日

1114「自己調整1」2017,11,5

 今年も残すところ2ヶ月をきりました。月日の過ぎ行くのはあっという間です。しかし、それぞれが今生きている場、環境に生かされていますので受け止め方も各人各様です。
 今朝は朝日が見事で、部屋から見える天空は鮮やかな色模様に輝いていて、遠く太平洋が綺麗に見えます。久しぶりの秋晴れです。

 毎日の生活の中で自分を意識するのは自分の身体のことが多くなります。当然といえば当然ですが、生きている証が朝目覚めて肉体に留まっている己の意識を確認して、五感をはじめ感覚、肉体機能を通して生を実感します。ありがたき瞬間です。
 仕事柄、これまで健康に関することに興味を持ち学んで実践してきていますが、身体の機能、能力を向上させ、維持して行くにはそれ相応の知識と実践が必要です。幸い私は若い頃の不健康から脱出したいとの思いから、健康な身体を目指して努力をし、改善できてきています。テーマは「健康、若返り、天命を果たし、天寿を全うする。」でしょうか。

 私は30歳過ぎに素晴らしい先人に縁することが出来、貴重な学びを頂けました。それは目から鱗の喜びでした。その師から食の大切さ、呼吸法など諸々の行法を教えて頂き、真向法体操にも出逢いました。
 その後、多方面に足を運び、色々な変遷があり、今も継続しているのが真向法体操です。真向法体操は指導する立場になり早や30数年になりましたが、縁者に教え、共に実習する中で自ずと新たに見えて来る世界も多々あります。

 身体はその方の生き方、姿勢がそのままに現われるようです。顔を見てその運勢を言い当てる方も居られますが、そこにはある法則性があるのでしょう。私が30歳半ばの頃に学んだ先生は顔、姿を見て歯のかみ合わせの問題、体にある黒子の位置をも言い当て、今の内臓的な疾患の状態、是までの病歴すらほぼ見抜くのです。当然、性格や性能もです。不思議な世界、その分析、判断能力に驚嘆しました。私も出来るのかと思ったのですが、未だにその境地には程遠いレベルです。
 その師は直ぐに処置をせずに、相手のお話を聞き、今の症状を取り敢えず軽減する手段を教えて、日々の生活の中で自分自身がすべき日課を指導して行きました。
 身体の問題には局所の直接的原因はありますが、人間丸ごと捉えてそのアンバランスな問題点、いのちの継続に必須な要素を見抜き、その改善を促して行きます。
 それは呼吸法であり、瞑想法、身体の異常緊張の解放、悲観的な思いの転換などです。最終的に重力系の諸問題は、顎頭蓋骨、骨格系の改善を行なうのですが、その手段として口腔内の交合の再構築を行ないます。しかし病態によっては反応の閾値が低く、ほんの些細な処置、刺激も大きな変化の引き金になる事がありますので、初期の処置には細心の注意が必要です。
 当時、師は歯の噛み合わせで心臓発作が起きる危険性があると言って、安易な治療を戒めていましたが、可能性は十分にあると今も認識しています。人間は健康な状態であれ、病気の状態であれ、その時のバランス、恒常性を保つ様に機能しています。それが外部刺激で崩された時に咄嗟に自己調整機能が作用して身体の変化を惹起します。それが許容範囲内で収まるか、越えるかは紙一重のところがあります。

 15年程前になりますが、私の友人が人間ドックを受診しました。その検査結果を医師から説明,指導を受けて、成人病、今で言う生活習慣病のリスクが高いので適度な運動を薦められました。本人は若い頃は体育会系で鳴らした名選手の経歴を持つ兵でしたので、昔取った杵柄で、早々に自分で筋トレに取り組む事にしました。
 しかし数日後、自宅でのトレーニング中に心臓発作を起こしてあっけなく亡くなりました。40歳後半のこれから活躍を期待されていた時に残念な事でした。身体がもつバランスを崩す、強烈な引き金を引かれた結果と思います。今思うと、ある意味で短絡的な行為で無知のなせる技です。
 私はいのちの声がその前に発せられていたのではないかと思います。その行為の選択をする時に、もし寿命があり、継続が許されるなら警告のサインがあったのではないかと思います。しかし、感知できず、あるいは警告サインが無かったとしたらその時が終局、寿命だったのでしょう。今にすれは全ては致し方ないことです。しかし彼の生死の中で、改めて学ばせて頂くことが出来ました。
 彼には自分の自己調整機能を越えた大きな存在の調整が為されたのでしょう。