11月月末の木内鶴彦さんの講演会、ツアーに参加したMさんからありがたい届け物を受け取りました。Mさんは長野で、私の座禅断食の師である野口法蔵師の断食会のお世話をしているのです。彼女が法蔵さんからと小冊子を持参くださったのです。法蔵さんの新しい本のゲラの様です。面白い内容ですので紹介します。
「腸を働かせて健康に」
私が指導している「坐禅断食」は、基本的には、ブッタも体験したアーユルベーダの発想に基づいています。始めてから3日間で終了する、断食としては短いものです。ちなみに断食の歴史は古く、インドでは三千五百年と言われており、それが中国に渡り日本に伝わって、日本でも修験道の中に入って千五百年の歴史があると言われています。
断食の効能を考えるにあたり、古くから「宿便」というものがキーワードとなっています。人間の腸の中には「宿便」というものがあり、断食によってそれを体外に出す事を目指す、それができれば単に肉体的な健康にとどまらず、心身ともに健康になるという考え方です。いかに「宿便」を出すかということに焦点を当てて、断食の様々な方法が考案されてきました。
断食のキーワードとされている「宿便」ですが、これは医学用語ではありません。医学界では「宿便」というものは存在しないと、長らくされてきました。しかし最近のアメリカにおける研究では、「宿便」というものはやはり存在するのだとされて注目を集めています。この「宿便」とは、溜まっている便ではなく、1番長い消化器官である小腸の中にある、粘液の1種だという事です。粘液ということですから、液体状のねばついたものですが、その量は体重60キロの人で4キロにも及ぶという事です。
この「宿便」が栄養の吸収を阻害しますので、「宿便」を出すことによって栄養の吸収率が高まり、小食でも満足するようになってきます。腸の働きが活発化して、血液が良くなります。「腸脳」という言葉が最近使われ始めましたが、腸は脳とは別に独自に体内の様々な器官をコントロールする能力があるということです。その腸の働きが悪いと体の免疫力が落ち、神経系統のバランスも崩れます。腸は体の働きの大きな要であり、だから病気の原因の多くが腸の働きの不調によるものではないかと考えられ始めているのです。
アメリカの医療機関の研究では、現代人の多くが慢性の消化不良に陥っており、昔の人に比べて栄養の吸収力が落ちているとのことです。だから、良い物を食べても排泄される割合が多く、排泄されればまだ良いのですが、排泄されないと腸内にそれが残留します。そこからガスが生ずるなどして毒素が発生し、偏頭痛などの様々な症状を引き起こす要因となります。
従って、腸を働かせ、宿便を取る事で、現代人を悩ませる多くの症状が改善します。アレルギーもその良い例の一つです。食べ物によって腸が傷ついた場合、その傷から抗体が入る事でアレルギーが発生すると言われています。腸の傷は、本来であれば皮膚同様3日間あれば回復しますが、食べ続けているとなかなか治りません。腸の働きを抑止、新陳代謝を高め、一旦食事を止める。そうすることでアレルギーも治りやすくなるのです。食べ物が腸を傷つけるということは、固いとか尖っているとかではなく、質の悪い食べ物、有害な食べ物が腸にダメージを与えるということです。そういうものを体にいれないことが大切になります。