2019年1月17日木曜日

1552「会津9」2019,1,17

 木内鶴彦さんの考え方、技術を活用して数々の答えを出していて、行政からも高い評価を頂いている農業者が会津美里町におられます。農業法人有限会社自然農法「無」の会の児島徳夫氏です。仙台での木内さん講演会に参加されかねてより交流があり、NGO仙台テンメイの会員でもあります。今回、会津を巡るので児島さんのお話しを伺い、実践現場を見学させてほしいとお願いしていました。快諾して頂き、今回皆さんと訪れる事が出来ました。

 生憎の雨です。先ずは児島さんのお宅でお話しを伺いました。育てたネギ、ニンジン、柿、リンゴ等を食味させていただきながら基本的な考え方をお聞きしました。




 最後は堆肥場を見せて頂きましたが、農業肥料は与えずに堆肥のみで栽培しているそうです。堆肥には木内さんの太古の水とミネグリーンを投入していますが、ミネグリーン入れると、遠赤外線の効果で、堆肥の分解発酵が普通の3倍くらいのスピードで進むと言います。太古の水も発酵を早めて、状態をよくする効果があるそうです。発酵が進んだ堆肥場では放線菌の良い臭いがしていました。




 自宅でお話しを伺っている時に丁度、打ち立ての蕎麦が届きました。今日の宿で皆で食べる様にと2箱頂いて来ました。昭和村矢の原で栽培された蕎麦だそうです。

 児島さんは高校の英語教師をされていました。兼業農家でしたが退職後多方面に活躍の幅を広げています。考え、活動は以下のHPに詳しく書かれていますが、その中から幾つか紹介します。

・「無」の会が目指す農業とは
衰退する地方
 現在、地方は、ますます衰退の一途を辿っています。これは、農業ばかりではなく、商業も工業も同じでした。つい数十年前までは、町の鍛冶屋さん、呉服屋さん、豆腐屋さん、酒屋さん等々、皆が働いてえた富を互いにまわし、地域経済を支えていました。今はどうでしょう。大きな外部資本、ス-パ-のようなものが、やってきて、富を地域の人々に循環させることができなくなったのです。
 この現象は、商業、工業ばかりではありません。農業についても言えるのではないかと思います。以前は、各農家には、牛や馬がいて、その糞尿と藁や落ち葉を発酵させ、肥料として使っていました。農薬もありませんから、作物を育てるには、大変な農業技術と思いがなければ、できなかったのです。それ故に、各地域には、篤農家が生まれ、周りの農家を指導していたのです。

荒廃する農業
 今は、どうでしょう。肥料や農薬メイカ-も農家を指導し、営農指導さえしております。農家は、自立できず、極端に言えば、彼らに支配されているといっても過言ではありません。そこに追い打ちかけているのが、米の値段の暴落です。農協価格で60kg1万円以下の地域もあります。「百姓滅びて、業者あり」です。
 さらに問題なのが、品質の低下です。化学肥料や農薬がまだ普及していない時代、農作物は、ビタミンや糖類などの栄養素が多量に含まれていました。現在のものを分析すればするほど、現状は惨憺たるものです。農家ばかりか、消費者の方も、その影響を受けていると言わざるをえません。

便利さ・安さの追求の果てに
 なぜ、ここまで荒廃したのでしょう。私たちは、単に便利さ、安さのみを求め、そして科学がすべてを解決できると錯覚しました。言うならば、「科学」ではなく、「科学教」に取りつかれたのです。一般の農家は、落ち葉、野菜クズ、家畜の糞業、木クズ、モミガラ等々すべて捨てております。土に戻しておりません。農薬や化学肥料がなければ、作物は育たないと盲信しているからなのです。
 先ほど申し上げましたように、昔の人は、排泄物、わら、落ち葉などを発酵させ、土に戻しておりました。その中には、多量の炭素、ミネラルが含まれ、それらが土の中の多種多様な有効な微生物群を育て、本当の土を育ておりました。そこから、生まれた農作物は、虫や病気に強く、栄養豊富なものとなっておりました。それ故に、粗食にも、日本人は耐えられたのです。

科学に裏付けられた「循環型農業」への回帰
 もう、私たちは、偽りの世界から、抜け出し、本当のものを求めていかなければなりません。消費者もさることながら、農家も、厳しい状況に立たされているとは言え、本当のものを育ててこそ、生きる道が開かれると確信しております。昔の農業に学ばなければなりません。人工的に造った化学物質を入れるのではなく、自然のものを土に戻し、そして、それが作物になっていく —— 古来から日本人がやってきた循環型農業にこそ、真の未来が隠されているのではないか思います。
 しかしながら、「動物性のものはだめだ」「チッソはわるい」「何もいれず、自然につくるのがいい」などと言って、それに固執するのは、自然農法ではなく、「自然農法教」です。
 現在、限界があるにせよ、人類が営々と築いてきた叡智の結晶・科学を誰でも簡単に手に入れることができる時代です。私たち農家もそれを最大限に利用しなければなりません。ただ、それに溺れてはいけません。それを駆使し、古来の日本人の農法を見つめ直し、新たな農業を創造していくことが、この荒廃した農業を救うことになると確信します。