だけれども少年は18才で青森を捨てよう、そして記憶から全てを消そうと決めました。そして私は横浜で生まれ育った、と思って生きました。父は横浜で生まれていたということもあり、当時のテレビドラマの「あぶない刑事」が大好きで、横浜に憧れていたのでした。そして私は「横浜っ子!」とセルフマインドコントロールに罹って行きました。
その様にして別人格の形成を18才から32才の間にしていました。兎に角、自分の過去を忘れよう、無かった事にしようと思ったのです。私は、言葉は訛るし、家も無く、学歴も無く、何もない。そんな中で新しい自分を形成しようと思い、成りすまそうとしました。そして女にもてる男、舘ひろしや柴田恭兵みたいになろうとしました。田舎育ちの都会へのコンプレックスがあったのです。
やがて夜の世界に染まり、気が付くと六本木に染まっていました。私も片言だと訛りが出ないので、出来るだけ喋らない様にしました。そして顔でキャラを作って行きました。そのようにして偽りの自分を演じ、偽りの恋愛が始まりました。そうなって行くと面白いのです。そんな自分を変える不思議体験が始まっていきました。
六本木にいるとお金が全てを支配しています。でも自分には何もない。全ては自分の努力次第だ。そしていかに成り上がって行くか、を考えました。私の理想は矢崎永吉でした。そして六本木の帝王になることです。でもそこで父親の言葉が引っかかるのです。しかしそこでは犯罪者やヤクザに関わらずに居られない世界です。そして酒に逃げました。
すると子供の頃に、祈りをし、神様を拝んでいた自分が蘇ってきました。そして酔っ払いながら祈っていたのです。そして「もし神様がいたら出てこい!」と言っていました。その内に自分の首が勝手に動く様になったのです。どうしたんだろう、罰が当たったのか?自律神経がやられたのか?病んだのか?と自分で思いました。
その時、父の一言が思い出されました。「東京へ行って好きな物だけ食べて野菜、果物を食べないと病気になるぞ!」の言葉です。
東京に出て来てから肉、酒だけで、これでは病気になると思いました。そこで野菜、果物を食べたのですが、私の体調は悪化して行きました。そして段々と自分の意識が無くなり、夢遊病の様になり、自分で自分のコントロールが出来なくなり、怖くなってきました。しかしわたしの傍に気遣ってくれる親は居ないのです。
歩いていて鳥居の前に来たら、鳥居に向かって頭を下げている自分がいます。そんなことを毎日していました。当時は、六本木の店の料理人として入っていました。
そんな時、店の常連のマダムが店の開店前に来て私に話しかけてきました。私の顔を見て涙目になり「あなたは早くこの街から出て行きなさい。ここに居ると駄目だ。黙って言う事を聞きなさい。」と言われたのです。
そして言われた数日後に店を辞めました。そのマダムは霊能者で私を霊視していたのです。私の未来を見ていました。私の1つの駄目な未来を見ていたのです。私の人生のターニングポイントにはいつも霊能者が現れます。その時が20才の大きなポイントでした。
そのころ身体が勝手に動くようになっていたのですが無視していました。「精神病は無視する事だ。考えると悪化する。」と思っていました。私は渋谷の隣街に住んでいました。そして博打にも手を出していて借金が嵩んでいました。早く成り上がる為に、お金欲しさに博打に手を出したのでした。