2018年12月24日月曜日

1528「坐禅断食2」2018,12.24

「宿便」とい言われる腸の粘膜が、どういう時に増えるのか、興味深い事実があります。それは悪い食べ物が腸に達した時ではなく、それが口に入った瞬間に増えるのだという事です。動物には本来驚くべき能力があり、毒草などの有害なものは食べません。食べる寸前にその臭いなどで察知します。人間はこの能力が他の動物に比べて弱いのですが、それでも、口の中に悪い食べ物が入った瞬間にそれを飲み込む前に脳を介さずに舌と小腸がつながっているのです。現代においては、食品添加物や合成保存料、農薬や化学肥料といった、数多くの化学物質が食品に含まれるようになり、小腸の粘膜が増加する場面が多くなっています。その為に「宿便」の影響が大きく、それを取り除くのが断食の目的です。

 断食を実際に体験するとよく分かりますが、宿便が減少して腸の働きがよくなると、神経系統の伝達も非常にスムーズになります。それは自覚ができます。脳がすっきりして、悩みも小さく感じられます。決断も速くなります。神経細胞のシナプスの触手が良く伸びて、情報の伝達がされやすい状態になっています。
 逆にそれが縮んでくると「鬱」の症状が出てきます。鬱と言うのは脳と神経の伝達が悪い状態です。ですから、鬱も腸の働きの悪化から引き起こされる病気であると言えるわけです。実際に坐禅で宿便を出すと、精神疾患が改善される例が多く、腸との因果関係を裏付けています。
 ただ、宿便というのは、そう簡単には出て来ません。いろいろな人が試みてきましたが、5日間の水だけの断食をして、2人に1人が半分位の宿便を出すのに成功するというのが、今までの多くの例でした。絶食によって腸管を空にすることで宿便を取ろうとしたわけですが、やはりこれだけでは不十分だったわけです。私達の「坐禅断食」が3日間で宿便を出せるというのは、腸管が空になるのと並行して、腸の自立的な蠕動運動を促すためです。その鍵となるのが、断食しながら行う坐禅です。

 坐禅と似たものに瞑想がありますが、この2つには大きな違いがあります。最近、脳波以外に、交感神経と副交感神経の作用をそれぞれ計測出来る機器が開発されました。従来は相対的にどちらの活動が優性かということしか分かりませんでしたが、新しい機器ではそれぞれの活動の大きさそのものが測定できます。緊張する時に働く交感神経と、リラックスする時に働く副交感神経の活動が、それぞれ個別に測れるのです。
 瞑想では、副交感神経が活動してリラックスしていますが、交感神経の活動はありません。寝ている時と同様のリラックス状態が生まれます。しかし、小腸の蠕動運動というのは交感神経の活動がないと起きません。リラックス状態では動きません。リラックスしていて適度に緊張している状態で、小腸は1番いい動きをします。この状態が現れるのが坐禅をしている時なのです。機器で計測すると1番いい値が出ます。坐禅断食は、普通に断食する以上に宿便を取りやすい断食方法であるということがこれで分かります。
 最初からこの論理が分かっていたわけではありませんが、坐禅を取り入れての断食に効果があることを実感し、30年間に渡ってその指導を続けてきました。今は私以外にも20数名の指導者がいます。そのうち3分の1くらいは医師の方です。参加者にも医師が増え、医療機関でこの方法が使われる事も増えてきました。それくらい、顕著な効果があるということです。今では私のやり方を取る断食道場が全国で30か所くらいあります。
 坐禅断食をすることによって体質が変わり、ものの考え方が変わります。また、人間本来の味覚を取り戻すということにもつながります。人間本来の敏感さが発揮されれば、体によいたべものが分かります。今は食べ物の能書きを鵜呑みにして、思い込みや刷り込みで食べていることも多いでしょう。しかし、本当によいもの、おいしいものを自ら感じ分ける能力が大切で、それを磨く事に断食は非常に役に立ちます。
 糖尿病の人は、断食体験後に8割以上に病状の改善が見られます。このような生活習慣病の改善は、その人の味覚が変わったことによるものが大きいと思われます。よいものを食べ、少量でも満足できるようになるといった変化に繋がります。

 断食を契機にして、食べ物との関わり方も変わってきます。食べ物への感謝が深まります。いろいろと頭で考えた理屈で、これは良い食事、これは悪い食事と判断している場合がありますが、頭で食べるのではなく、食べ物にまず感謝をして、自分の体の声を聴きながら食べるということが大切なのではないでしょうか。断食とは、そういった生き方、食べ方の出発点になります。

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