「妙見山黒石寺はそもそも東光山薬師寺と言われていました。この多岐(たき)神社は元々は滝から由来していたようで、神社の後ろに東光水という滝があります。共に東光という言葉が強い繋がりを感じます。
この多岐宮神社には新山宮も合祀されており、そこに瀬織津姫が祀られています。新山宮とは遠野の早池峰神社の事で、元々新山宮と言われていたのが、明治の神仏分離によって早池峰神社に改称されています。その早池峰神社の御祭神は瀬尾律姫です。どうやら多岐宮・多岐大明神は新山宮で瀬織津姫の様です。」
更に「北上・多岐神社(新山宮)妙見信仰の残照」に以下の記載があります。
「多岐神社由緒は、田村麻呂が悪路王をはじめとする岩盤石の討伐に難渋していたとき、「東光水と申す瀧」の「化神」の加護によって勝利を得たとしています。また、田村麻呂が一社を建立し「多岐宮と号し崇め」たのは「延暦二十一癸未年(癸未は延暦二十二年…引用者)八月の事なり」としています。
延暦二十一年八月は、阿弖流為たちが斬刑に処された月でもあり、由緒が延暦二十一年にこだわっているとしますと、この符合は偶然ではないようにみえます。『日本紀略』同年七月二十五日条には、蝦夷平定の祝賀の会が朝廷内で催されたとあるように、朝廷サイドからすると、積年の難敵・阿弖流為たちの降伏(→処刑)は祝賀に値するほどの画期だったようで、その象徴的な年が延暦二十一年でした。
朝廷側による一方的侵略に対して、自立自尊・専守防衛に徹する蝦夷は、侵略側にとっては理解の外にある存在で、これも一方的というしかありませんが、蝦夷は未開の野蛮人・異人、つまり「蛮夷」とみなされていました。
しかし、阿弖流為の時代、彼の本拠地近く(奥州市水沢区黒石)には、天平元年(七二九)行基による薬師如来の造像および薬師堂建立伝承(開基伝承)をもつ黒石[こくせき]寺(旧正月七日夜半から行われる「黒石寺蘇民祭」の奇祭でよく知られる)がすでにあり、ここは阿弖流為の信仰とも関わる可能性があります。」
アテルイと坂上田村麻呂の世界がここには色濃くあります。
木内さんとの巡りも最後の目的地に成りました。同じ北上市にある樺山遺跡です。ここもこれまで10回以上は訪れているお気に入りの場所です。
樺山遺跡の概要は以下です。
「この遺跡は、縄文時代中期の配石遺構群を伴う、縄文時代前期末から後期にかけての集落跡です。特に、配石遺構と呼ばれる石組み群が、丘陵西側の緩い斜面部から平坦部にかけての一帯に不規則に分布し、石を組んだモニュメントが37個発見され有名になりました。
東側の高台上には約5,000年前の村が、西側の斜面には約4,000年前の村があり、モニュメントの造られた時期は謎の一つです。個々の石組みの石の並べ方にいくつかの型が認められますが、花崗岩(かこうがん)の細長い川原石1個を立てた周りに、数個の山石を放射状に並べたものを典型とします。石組みの下は少しくぼんでいますが、土こう(あな)と言えるものではありません。石組みに伴って出土した土器や石器から縄文時代中期のものと考えられます。
配石遺構は、縄文時代前期から知られていましたが、樺山遺跡以降の代表的なものとして、秋田県鹿角市の大湯勘定列石があります。これは縄文時代後期のもので、石組み群の中の日時計と呼ばれているものが、樺山遺跡の石組みに似ており、樺山遺跡のものを祖源とみることができます。
このような配石遺構は何のために造られたかについては、以前から墓地とみる説と、祭り場とみる説とがありますが、北海道地方では墓地がほとんどであり、その他の地方では両者があって一様ではありません。樺山遺跡では、墓であるかどうかをみるため、石組みの下の土を 「リン分」 の分析しましたが、墓としての確かな証拠が得られませんでした。 丘陵上には、配石遺構を造った人々が生活した場所と考えられ、縄文時代中期の竪穴式住居が復元されており、史跡公園として親しまれています。」
西に向かって開けた丘から北上川、焼石連山、田畑、北上市街地を見下ろせます。早春の柔らかな太陽のエネルギーも相まって、自然に心身が緩み、寛ぎ、穏やかな気分に満たされます。暫し、この自然の恵みの世界を満喫しました。
全てを順調に終えることが出来て無事に仙台駅に19時頃に帰り着きました。全てはありがたき事です。蝦夷、アテルイ、アラハバキの世界を堪能できました。かつて古の時代の豊かさ、そして今の一見便利で豊かに思えるが、しかし貧しい世界とのコントラスト。そこを如何にしていくのか、これからの私達の叡智、活動の真価が問われます。
次回の木内さんの来仙は6月9~11日です。その時に新たな提案が期待できそうです。以下の内容で開催しますのでご縁の皆様の参加をお願いします。
6月9日第295回「木内鶴彦講演会 未来のスサノウの循環型社会構築へ向けてno2」http://genkiup.net/seminar/seminar295.pdf
6月10,11日NGO仙台テンメイ10周年記念第296回「木内鶴彦講演会&研修旅行」