2017年4月13日木曜日

908「合気3」2017,4,13

 途中、盛岡駅で予定通り9時40分過ぎに、岩手のあわ歌担当のアクティブメンバーKさんをピックアップしました。ここからは国道455号線を東へ進み、北上高地を越えて岩泉町へ向かいます。
 途中から周囲の道路脇、山には積雪が見られ、景色は冬の世界です。途中の岩洞湖はまだ氷結しています。ここの岩洞湖レストハウスで昼食の予定ですが、ここからまだ1時間程進みます。

 道の駅三田貝分校で休憩をしてまもなく、車中で中山さんがお言葉を書かれました。 
「運べ 運べ 移したるそれを運べ。
 繋がり行くぞ。
 渡良瀬の地へ運べ。
 艱難辛苦が詰まっておる。
 運びて、変え行きなされ。」11:04

 果たして何を運ぶのでしょうか。中山さんに見えたものは、あまり大きくないケースのようなものが中山さんのほうに方々から集まって来たようです。その中身は金塊?ではなさそうですが、果たしてなんなのでしょうか。
 言葉にある渡良瀬の地とは何処でしょうか。艱難辛苦が詰まっていて、それを運んで変えて行くようにとあります。
 渡良瀬を調べると群馬県の渡良瀬川、足尾銅山の鉱毒対策の栃木県の渡良瀬遊水地などがあります。その説明は以下の様にあります。
「渡良瀬遊水地は、足尾鉱毒事件による鉱毒を沈殿させ無害化することを目的に渡良瀬川下流に作られた遊水池である。2012年(平成24年)7月3日、ラムサール条約に登録された。」
 無毒化出来る渡良瀬遊水地の様なところに運んで行くことで艱難辛苦がスッカリ変わって喜びになるのでしょうか。

 渡良瀬をもう少し調べてみると、佐伯一麦(かずみ)の小説『渡良瀬』がありました。渡良瀬川から題名を取ったようですが、彼は2014年、『渡良瀬』により第25回伊藤整文学賞を受賞しています。作家の佐伯氏は1959年仙台市生まれで仙台在住です。私は最近は文学を読みませんので彼の事を知りませんでしたが、仙台の方が!とちょっと驚きです。
「渡良瀬」の書評が見つかりましたので一部紹介します。
「・・それに「渡良瀬」という川。この流域ではかつて足尾銅山の鉱毒事件が起きている。大きな被害のあった谷中村は古河から川をさかのぼったところにあったが、後に洪水を避けるための遊水池として水没した。作品中でも主人公がこの遊水池近くを散策する様子は印象的に描かれている。
 「渡良瀬」というタイトルには、水や川の持つ生命力への畏怖の念がこめられている。川の流れは電気や電波の流れとも重なり、彼が10代から20代にかけて歩んだ、ときに向こう見ずなほどの挑戦的な生き方を暗示する。しかし、渡良瀬はまた毒を呑んだ川でもあったのだ。そして主人公もそう。アスベストという物理的な毒をはじめ、さまざまな人間関係の軋轢から自身の失態に至るまで、多くの毒を呑みながらそれでも流れ続けてきた主人公の人生は、より深い意味で渡良瀬という川の名と重なり合う。」
http://booklog.kinokuniya.co.jp/abe/archives/2014/01/post_149.html

 今将に毒を無毒化して変え行く事が必要なのでしょう。鶴田浩二の「傷だらけの人生」と言い、何故にこのようなメッセージが中山さんを通して現われるのか、不思議で、面白き世界です。

 小本川沿いに国道を下って行くと、そこかしこに昨年の台風10号の大雨の爪あとが残っています。道路も工事中で交互通行のところが何箇所もあります。


 台風10号は岩手県に上陸した観測史上、始めての台風で、異例中のものです。
 「日本の南で複雑な動きをした台風であり、数日間、南寄りの進路を通った後、再び東寄りに進路を変え、北上し、8月30日18時前に岩手県大船渡市付近に上陸。1951年(昭和26年)に気象庁が統計を取り始めて以来初めて東北地方の太平洋側に上陸した台風となった。」
 この台風により記録的な大雨がもたらされた結果、河川の濁流や増水等により、岩手県の人的被害では、死者・行方不明25名、住家被害は、全壊380棟、半壊2,137棟の甚大な被害がありほとんどが岩泉町でした。しかし今は、岩泉町の市街は復興が進んでその形跡は見られません。
 その混濁し破壊の世界に巡りの最初に足を踏み入れ、そこにある静謐な神秘な清浄な地底湖の世界を訪れる。それも復旧まもなくのこの時期にです。