2019年10月9日水曜日

1820「福島巨石探訪7」2019.10.9

 次の目的地は同じ猪苗代町の天鏡閣の敷地内のある三方石です。猪苗代湖は夏真っ盛りで多くの海水浴の方、ボート遊び、観光船の方々で賑わっています。湖の西側の湖畔沿いの道を南下して直ぐに右手に登るとそこは大正天皇所縁の地、天鏡閣です。裏の駐車場に車を止めて、散策路を進みます。三方石と天鏡閣については以下の様に紹介されています。

「三方石          猪苗代町大字翁沢字御殿山1048番地14 天鏡閣内
 国指定重要文化財の天鏡閣を拠点に広がる猪苗代湖畔の森自然散策路。通称「ロイヤルコース」とも呼ばれるその散策路では、皇族方もつかの間の休息を楽しまれたのかもしれない。
 天鏡閣から目指すは三方石。「おもいでの小径(こみち)」と名付けられるコースにたたずむ自然石には、天鏡閣の由来が記されている。近くには大正天皇お手植えのヒノキもあり、ロマンあふれる時代を感じさせる「ロイヤルコース」のシンボルの一つだ。
 小鳥のさえずりに耳をすませながら、散策路を歩くと、松ぼっくりの芯が目立つ。「リスの食べ跡ですよ」と案内役の田島裕子さんが教えてくれた。ムササビのすむ穴やクマのつめ跡も。生物と共生する姿をそのまま映し出している。
 紅葉山展望台に到着すると、高い山ではないだけに、眼下に広がる猪苗代湖には磐梯山頂からの眺めとは違った奥行きを感じさせる。
 森と湖、そして天鏡閣。猪苗代の魅力を独り占めにした気分だ。
 小高い丘に、至る。三方石と、現地板が見えてくる。
現地板より  .
 「「三方石」と呼ばれるこの大きな自然石には、国指定重要文化財「天鏡閣」の建設と命名の由来が書かれた「天鏡閣記」全文が刻まれています。
 「天鏡閣」は、明治四十一年、有栖川宮威仁(ありすがわのみやたけひと)親王殿下の翁島別邸として建設されました。
 明治四十年八月、同殿下が東北地方を御旅行中、時の福島県知事平岡定太郎の勧めで猪苗代湖畔を巡遊の折、この地の風光の美しさに深く感動され、猪苗代町大字翁沢地内に別邸を建設することになったものです。
 別邸建設工事は、明治四十一年春に起工し、同年八月に竣工しました。
 明治四十一年九月、皇太子嘉仁(よしひと)親王殿下 (大正天皇) が翁島別邸に行啓の折、周辺の景色、朝夕の光が猪苗代湖に輝きわたる、あたかも天鏡を見るような眺望を賞せられ、李白の句「明湖落天鏡」に因んで、翁島別邸を「天鏡閣」と命名されました。
 有栖川宮威仁親王殿下は、この閣名の由来を後世に伝えるため、東宮侍講三島毅 (中州) に命じて造らせたのが「天鏡閣記」です。
 同殿下の没後大正九年に至り、威仁親王妃慰子(やすこ)殿下の御遺志に基づき、天鏡閣 北側の小高い山の上にある「三方石」とよばれるこの自然石に、内大臣 秘書官日高秩父の書による「天鏡閣記」を刻ませられました。」

「天鏡閣は福島県耶麻郡(やまぐん)猪苗代町大字翁沢字御殿山にあります。
 天鏡閣は明治40年(1907)、有栖川宮威仁(ありすがわのみやたけひと)親王が明治天皇の代巡として会津に来られ、ここが気に入って翌年の明治41年(1908)に建てられた洋館です。天鏡閣という名は李白の句「明湖落天鏡」に由来し、大正天皇によって命名されたそうです。 
 建物は一部3階建てのルネサンス様式を巧みに取り入れた和洋折衷の建築様式で、本館、別館、表門は昭和54年(1979)に国の重要文化財に指定されています。昭和27年(1952)に高松宮宣仁親王から福島県へ寄贈されたものでした。 
 会議場、講習会場、職員研修所などに利用されてきましたが、老朽化のため、昭和46年(1971)に利用を停止しています。昭和57年(1982)に修復工事が行われ、家具調度品を復元しました。高松宮殿下から寄付された有栖川宮殿下ゆかりの品々を館内に展示して、天鏡閣を一般に開放しました。 
 本館は木造2階建て、スレート屋根葺きで、八角形の塔屋付きで、外壁は下見板貼りです。玄関を入ると中央廊下で仕切られ、南側には主要室、北側には小室を配しています。建築面積は492平方m、延面積927平方mで、高さは18mもある大きな建物です。 
 表門は、煉瓦造りの柱門で、両開きの鉄柵扉を吊っていて、門灯のガラスグローブと煉瓦が印象的です。別館は、管理用事務所かその宿直室として使用したらしく、簡素な造りになっています。」

 散策路は快適です。緩やかな登りですが10分ほどで大正天皇が明治41年にお手植えのヒノキがあります。巨石が道端にありそこからほどなくして三方石に到着です。柵で囲われています。木々を抜けた光が輝いています。ベンチなども苔むして自然の時の流れを感じます。暫しこの空間を楽しみました。苔を採取して苔玉を作り持ち帰った方がいましたが自然の生命力は素晴らしいです。


  帰りは軽やかな下りです。森を抜けると天鏡閣が見えます。見学をするのかな、という期待とは裏腹に車で次の目的地に出発です。