世界最大のダムでありながらも、基礎部分に構造上の不安が発生しているとされる三峡ダム。
この三峡ダムのある湖北省もまた、ずっと大雨に降られているようで、新型コロナウイルスの発祥地として取られる武漢・・・まあ本当に発祥地かどうかは不明ですが、最初にこのウイルスを有名にしたことは事実である武漢などは、現在多くが冠水、水没しているようで、武漢の方々の災難は続いているようです。
7月6日 武漢。水没している長江沿いの休憩所
7月3日 武漢で水没中の青年
それにしても、武漢の人たちは、あまりにも長く続いている大雨で、すでに「洪水慣れ」しているのか、上の最初の写真では、よく見ますと、水没した休憩所を拠点として「みんなで泳ぎを楽しんでいる」ことがわかります。胸まで水没している武漢の若者も、よく見ると「微笑んで」います。洪水に慣れちゃったのですかね。
それはともかく、三峡ダムが仮に決壊するようなことがあれば、長江沿いの多くの都市に壊滅的な被害が出るとされていていまして、武漢から 800キロメートル以上離れた上海でも大規模な冠水が起きるとされています。
ところが、三峡ダムが決壊していない現時点で、「すでに上海は大規模に冠水している」ようなのです。上海でも大雨が続いているようで、上海には中国で最も高い高層ビルである上海タワー(121階建てで高さ 632メートル)という建造物がありますが、この上海タワーが「天井から雨漏りしている」ことが報じられています。
この中国語の報道には、
> 従業員がバケツで水を受けている とあり、超近代ビルも「雨漏り対策にはバケツ」という懐かしい響きの対応がとられていることを知ります。
このように中国各地で大雨が続いている中で、三峡ダムそのものに問題が発生したとは今のところ報じられていませんが、そのダムのある長江を含む、「中国のありとあらゆる大きな河川が警戒水位レベルを超えている」とは報じられています。
累積雨量も、1952年に中国で観測が始まって以来の「過去最大の短時間雨量」を記録する地点が相次いでいるようで、これは、九州や岐阜などで記録された状態と同じですが、とにかく、「信じられないほど雨量が多い」上に、中国の場合、地域的に、「まったく降り止まない」ということになっているようですので、三峡ダム云々は別としても、今年の中国はかつてないほどの洪水による被害を受ける可能性はあると思われます。
三峡ダムについての最近の記事は以下となりますが、これからすでに、2週間以上となっていて、大雨が収まっていないのですから、危険なことには危険かもしれないです。
「中国南部で続く史上最悪の大洪水の中、数億人に影響を与える可能性のある「三峡ダムの決壊」は起きてしまうのか?」In Deep 2020/06/24
先ほどの中国「黄帝」は以下のように述べていました。
> 春と夏に洪水が繰り返され、秋と冬には頻繁に干ばつになる。
> 田んぼは完成せず、収穫期のコメも刈ることができない。
このフレーズを思いますと、今後も天候が農作物に影響を及ぼしやすい年になるのかもしれません。
そして中国でもイナゴが
今年の春以来、世界のかなりの国や地域が、イナゴ(サバクトビバッタ)の影響を受けており、それは現在も拡大し続けていますが、中国でもイナゴの大群が、少しずつ散見されていることが報じられています。洪水や干ばつも農作に影響を与えますが、イナゴも大きな影響を与えます。
現時点での中国の場合は、おそらくはサバクトビバッタではなく、中国固有の、いわゆる日本でも「イナゴ」と呼ばれているツチイナゴ等の種類のものだと思いますが、中国には、隣国のパキスタンなどからサバクトビバッタが入りこむ可能性も消えているわけではなく、国産種と外来種の2種類のイナゴに苛まれる可能性もあります。夏が訪れるまではどうなるかわからないですが、60年に 1度の年というところから、何となく大発生につながってしまうような気もしないでもないです。今回は、中国のイナゴの状況について報じていた中国語メディアの NTD の記事をご紹介して締めさせていただきます。
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「イナゴの大群が中国の多くの場所を攻撃している中で、食糧問題に対応した中国軍の緊急配備がなされているのだろうか」蝗虫大军袭击中国多地 官方紧急调兵备粮?NTD 2020/07/05
中国南部で洪水が猛威を振るう中、イナゴ災害が中国各地で発生した。
最近、中国当局は全土の農家に「農地の確保と穀物の保護」を公式に要求したが、これは、食糧危機の問題が深刻であることを示唆している可能性がある。
7月3日、イナゴが中国翔陽市、湖北省、江城区、プエル市、雲南省などに出現したことを示す動画が中国の SNS に次々と公開された。
これらの動画から見ると、イナゴは、最初に湖北省の翔陽市に大量に出現した後、各地に広がっていったことを示している。現時点では、これらのイナゴはまだ幼虫の段階にある。
雲南省の浦安市江城区にも、イナゴが多数現れているようだ。
6月30日には、広西省桂林にある大規模農業地域である泉州郡が「イナゴの大群」に一夜にして侵略されたというニュースが発表された。公開された動画では、イナゴがびっしりと大地を覆い、農作物が食べられていることがわかる。撮影した人が「非常にひどい状態だ」と述べている。
さらに、イナゴの災害が、安河、四唐、苗頭などの泉州県の集落にも出現していることがわかった。SNS には、「このような状態は、歴史的なイナゴ被害が大規模に発生する前兆ではないのか」と懸念する声があがっている。
最近の中国当局の公式行動は、中国本土での食糧不足の兆候を明らかにしている。報道によると、四川省成都の農村局は最近、食糧危機の可能性に対応するために、市内の果樹園と植林地における稲作の回復について調査と報告を求める文書を発行した。
この文書は、果樹栽培をしている農家の人たちに、果樹ではなく主食(米)を栽培することを奨励するためのもので、米の栽培を始めた果樹園の栽培者に 1ムーあたり 3000元(約 4万5000円)の補償を与えることを確約している。
また、湖北省の孝感市では、当局が村民たちに農作をさらに進めることを促し、農作地を 1エーカー増やすにあたり 150人民元 (2300円)の補助金を約束したが、しかし、すでに湖北省の農家の人たちは収入と労働力が不足しているために、このようなわずかな補償があっても、多くの農家の人たちは新たな耕作を望まないと思われる。
当局のひとりは、1959年から 1961年にあったような飢饉(大躍進政策による数千万人の飢餓死)を恐れていたと述べていたという。
同時に、中国とアメリカの間にさまざまな危機が勃発し、政治情勢が激化していることがあり、中国がアメリカ産穀物の輸入を止めてアメリカに圧力をかけたいと考えている中で、中国の穀物備蓄に問題が起きた場合の食糧安全保障の問題を当局は懸念しているという。
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ここまでです。これらの食糧問題は、それほどひどくならないかもしれないですし、もしかすると大きな問題となるかもしれないですが、食糧自給の低い日本や韓国などの国はその状況によっては強い影響を受けるかもしません。
ところで、「洪水被害が広がる中国、三峡ダムは果たしてもつのか」という記事によりますと、習近平主席は、7月7日まで、もう一週間以上も姿を見せていない。ということで、習近平さんはここのところ公式に姿を見せていないようです。いずれにしましても、60年に 1度やってくる庚子の年というのは、歴史的に、中国に対してだけではなく、日本を含めた全世界に強い影響を与えてきた年でもあり、残る今年の行方はやや気になります。