2018年6月6日水曜日

1327「祈り旅8」2018,6,6

二風谷は聖地だと伺いましたが
「日高地方は北海道の中でもアイヌの人たちが一番多く住んでいるところです。沙流川流域では昔は毎年、鮭が溢れるように昇ってきて川が銀色に光り輝いていたということです。少し山に入れば春には山菜、秋は栗やブドウ、コクワの実、マツタケなどがふんだんに収穫できました。熊笹や黄檗(オウバク)、さるなし(マタタビ)などの薬草の宝庫でもありました。私たちアイヌはこの二風谷の自然を聖地として昔から大切に守り育ててきたのです。
 1997年、その二風谷にダムが建設されてしまいました。私はそれを黙って見過ごすことができずに反対運動のために立ち上がったのです。最初の頃は同じアイヌの人々からも過激派などというレッテルを貼られ嫌がらせも受けました。川は人間で言えば血管です。それをせき止めればどうなるか言わなくても判るはずです。しかし今では、みんな私の言うことが正しかったと判ってくれて、ダムの水門を開ける運動に参加してくれています。しかし、もう二度とあの美しかった自然を取り戻すことはできないのです。

レラさんの、子どもの頃のお話を少ししてください
「小さい頃、私もアイヌの子としてさんざん嫌がらせやいじめに会い悔しい思いや哀しい経験をしてきました。しかし過去に起こった醜い争いや悲しい出来事は水に流し、アイヌがアイヌであることを嫌がらなければならないような時代は、もう私の時代で終わりにしなければならないと考えています。
 その昔、北海道は自然と共存して生きる人間・アイヌたちの自由の天地でした。この大地は誰のものでもない、お互いがお互いを育みあいながら共生している共同体社会(ウレシパモシリ)なのです。ユーカラには、この地球に生きているものすべては兄弟なのだとうたわれています。すべての人が欲を捨てて本当の人間・アイヌになれば、地球上から争いごとは無くなるはずです。」


アイヌの人々の祈りについて教えてください
「アイヌの祈りのことを「カムイノミ」と呼びます。カムイノミの時には、まずイナウという祭壇が作られます。イナウは上部を削って飾りをつけた柳の木で作られています。柳の木はとても生命力が強いので、祈りが終わってそのまま大地に刺しておくと、やがてそのイナウから新芽が出て、また森が豊かになるのです。そのイナウを大地に突き刺して天と地が平安でありますようにとか、雨を降らせてくださいとか神に祈るのです。
 しかし、時には神に向かって「貴方の子どもである私たちがこんなに苦しんでいるのに、神さま!どうしてこのようなことをなさるのですか! もっとしっかり守ってくれないなら、私たちも神さまをお祭りすることを止めますよ! と抗議するカムイチャランケ(神との話し合)いということも行われます。
 私はユーカラを語る前にいつもこのように祈ります「私のことばをください。この人たちに生きてゆく知恵をください。私の言葉と体を借りて、ここに居る一人ひとりに必要な知恵を語らせてください」
 カムイユーカラは心を鎮め、神(カムイ)の波動とつながって始めて語ることができるのです。
 これからもこの地球で生きとし生けるものすべての「いのち」のために祈り、ユーカラを語り続けたいと思っています。」
http://www5c.biglobe.ne.jp/~izanami/kaminohado/004ashirirera.html